この一杯のために足を運ぶ価値がある! 完成度の高いラーメンたち

現在、同店が提供するラーメンは「醤油らぁ麺」「塩らぁ麺」の2種類。
デフォルトを頼んでも構いませんが、基本のトッピングにワンタンが2個追加される「わんたん入り」を頼むのもおススメです。また、同店では「連食」が許されているので、1人で「醤油」「塩」の2杯を注文し、食べ比べてみるのも面白いと思います。

いずれの品も、ゆっくり味わってもスープが冷めることがないよう、丼までしっかりと温められた上で提供されます。こういう心配りひとつで、食べ手の印象がコロリと変わるのがラーメン。つくづく、奥深い食べ物だと感じます。
スープは、「醤油」「塩」ともに、緻密な計算の下、鶏・豚等の動物系素材を丹念に炊き上げて出汁を採った、淡麗ラーメンのお手本のような仕上がり。提供時のラーメンの「顔立ち」も、堂々たる一流の風格。この丼が目の前に供されて、生唾を飲み込まない食べ手は存在しないでしょう。

「『醤油』は、タレの醤油のうま味が明確なので、出汁を構成する素材はシンプルに。他方、『塩』は、毎朝、ホタテ貝柱と合わせてゆっくりと火入れすることで、出汁自体の風味と甘さが更に際立つよう、工夫しています」と渡邊店主が話す通り、「醤油らぁ麺」と「塩らぁ麺」とを立て続けにいただくと、両者のスープの方向性の違いをより実感できます。

「醤油」のスープは、滋味深い鶏とコク深い豚のうま味が、薫り高くキレのある醤油ダレのうま味と出逢い、より高次元の味わいを生む淡麗醤油の王道。適量湛えられた香ばしい鶏油も、スープと呼応することで、鶏の存在感を一層浮き彫りにする役割を演じ切っています。

他方、「塩」のスープは、出汁の風味を極限まで活かし切ろうとする構成。「醤油」と同様、スープの主役は動物系素材が担いますが、準主役として香り艶やかな貝柱が、上質な鶏のうま味を支え抜きます。