ラーメン官僚もうなる東京×山形のハイブリッドラーメン! 竹ノ塚『山形屋』の「中華そば」の魅力とは?

ラーメン官僚もうなる東京×山形のハイブリッドラーメン! 竹ノ塚『山形屋』の「中華そば」の魅力とは?
食楽web

目指すは、都内でも雄飛できる山形ラーメン!心から応援したい店主の挑戦

 同店のオープンは2019年2月4日。店舗の場所は、東武スカイツリーライン竹ノ塚駅から徒歩10分程度。数年以上、都内のラーメン店を食べ歩いてきたマニアに対してであれば、道順を長々と説明するよりも「かつて足立区を代表する人気店『ましこ亭(閉店)』があった場所」だと申し上げた方が早いかもしれない。駅からは若干の距離があるものの、駅を出て大通りに出ればそこから先は一本道。一般的な方向感覚を持ち合わせていれば、道に迷うことはまずないだろう。

 さて、こちらの『山形屋』。屋号が示すとおり、店主・池田氏は山形県酒田市のご出身。前職の関係で山形県酒田市から上京。都内で全国各地のご当地麺を徹底的に実食することで味覚を鍛え、満を持して今般、開業へと漕ぎ着けた。

「中華そば」(濃口、こってり、背脂あり)750円
「中華そば」(濃口、こってり、背脂あり)750円

「山形県のラーメンの特長である『毎日でも食べられる飽きの来ない味わい』と、都内のラーメンの特長である『インパクトの強さ』。その双方をバランス良く採り入れた1杯を創り上げようと、日々奮闘しています」と笑う池田店主。ご存知の方も少なくないとは思うが、山形県のラーメン消費量は日本一。老若男女を問わず日常生活に寄り添うラーメンを手掛けることに関してはお手のものだ。「カエシの濃度(薄口又は濃口)、スープのテイスト(あっさり又はこってり)、背脂の有無をカスタマイズできるようにしたのも、店舗に足を運んでくれる食べ手の多種多様な嗜好に対応したいと考えたからです」。

 誕生したばかりの新店でありながら、ここまでの気配りを行き届かせることができる店主の意識の高さにも感心させられるが、中でも特筆すべきは「あっさり」と「こってり」とでスープの作り方を変えていること。「当店のスープは、動物系素材と煮干し等の魚介素材とを1:9の割合でミックスさせたものですが、『こってり』には背脂を更に溶かし込み甘みとコクを演出するなど、ひと手間を加えているんです」。

 そんな『山形屋』で私が強くオススメしたいのは、「濃口・こってり・背脂アリ」のカスタマイズを施した「中華そば」。

「故郷・酒田の超人気店『ケンちゃんラーメン』(※)と『麺屋酒田』。私はこの2軒のラーメンのファンで、大いにリスペクトしています」との言葉どおり、登場した「中華そば」の味わいは、まさに両店のラーメンを彷彿とさせるもの。

店主・池田さん
店主・池田さん

 スープを口に含んだ瞬間、煮干しの鋭利なうま味が喉元にズドンと突き刺さり、間髪を入れずに、豚の豊潤なコクと甘みが口内でビッグバンを惹起する。
 ややボソッとした食感が鮮烈な印象を刻む極太平打麺も、スープに含有されるエキスを余すところなく口元へと運び込む獅子奮迅の働きぶり。麺の表面にフワリと柔らかな背脂が付着し、食感に絶妙なメリハリを付与。麺に施された「うねり」も、極上の啜り心地を約束する。「関東圏で人気が高い二郎系・家系等のガッツリ系ラーメンと、東北エリアの広範囲に根付く太麺を用いた中華そば。そのどちらでも通用するのは、この麺をおいてほかにないと思いまして」。

麺にコシを出すために、一杯一杯丁寧に手もみし提供される
麺にコシを出すために、一杯一杯丁寧に手もみし提供される

 最近、チャーシューの味を見直し、更なるバージョンアップを成し遂げたという。現状に安住しない向上心の高さも天晴れのひと言。2019年要注目の気鋭店だ。

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(※)ケンちゃんラーメンとは?
山形県酒田市に本店を構え、同県及び秋田県に数軒の支店を擁する、東北エリアの一大人気ブランド。
スープは、煮干し等の魚介をメインに豚骨等の動物系を合わせた、強烈な惹きを有するもの。そのスープに極太麺をタップリと泳がせた1杯は、その圧倒的なボリューム感と、店舗ごとに強い個性がある等の理由により、全店制覇を目指す猛者もいるほどの人気ぶりを誇る。

●SHOP INFO

煮干し中華そば山形屋 外観

店名:煮干し中華そば山形屋(にぼしちゅうかそばやまがたや)

住:東京都足立区竹の塚3-5-1
TEL:070-6960-0641
営:11:00~14:30 17:00~21:00
休:月曜、第3日曜

●著者プロフィール

田中一明

フリークを超越した「超・ラーメンフリーク」として、自他ともに認める存在。ラーメンの探求をライフワークとし、新店の開拓、知られざる良店の発掘から、地元に根付いた実力店の紹介に至るまで、ラーメンの魅力を、多面的な角度から紹介。「アウトプットは、着実なインプットの土台があってこそ説得力を持つ」という信条から、年間700杯を超えるラーメンを、エリアを問わず実食。47都道府県のラーメン店を制覇し、現在は各市町村に根付く優良店を精力的に発掘中。