埼玉の名店『麺屋時茂』が東京進出! 鶏の可能性を極限まで引き出した美しき「鶏白湯」|田中一明のラーメン官僚主義!

埼玉の名店『麺屋時茂』がついに東京へ! 鶏の可能性を極限まで引き出した美しき「鶏白湯」
食楽web

埼玉の実力店『麺屋時茂』が、満を持して都内へ。
人気ジャンル「鶏白湯」で覇を窺う気概も良し!

「できるだけ沢山の人たちに『時茂』の1杯を味わってもらいたい。その一心で、この度、ついに東京まで出てきてしまいました」と、はにかむ創業者であり草加本店の現店主である正木さん。

 今回ご紹介するのは、本年7月27日にオープンしたばかりの『麺屋時茂スカイツリー店』。2011年12月に埼玉県草加の地で産声を上げた『麺屋時茂』の東京初進出店舗だ。2018年7月末現在、こちらの『スカイツリー店』は、本店(草加)、西川口店に次ぐ3号店(※)。

「鶏白湯ラーメン(塩)」850円
「鶏白湯ラーメン(塩)」850円

 現在、同店が提供しているメニューは「鶏白湯ラーメン」。「醤油」と「塩」の2種類の鶏白麺は、『時茂本店』の創業当初から作り続けている看板メニュー。中でも、特にオススメなのは「塩」。正木店主の修業元である『蔭山樓』の「鶏白湯塩そば」へのオマージュを込めて開発された1杯は、創業以降も絶え間のない改善とブラッシュアップが重ねられ、今や、首都圏で食べられる「鶏白湯塩」の中でも最上位クラスに位置付けられる名作へと成長を遂げた。

「老若男女、すべての人たちから満足してもらえる味を創り上げたい。そういう気持ちはもちろんありますが、だからと言って、無難な方向に流れるのは性分に合いません」と言う正木店主に、「もしかすると今の味って、創業当時よりもずっと、旨みを鋭く強くカスタマイズしていませんか。特に、タレに途方もない労力を掛けているような気がするんですが」と問い掛けてみた。ニヤリと笑う正木店主。どうやら正解だったようだ。

鶏の旨みを最大限まで引き上げたスープ
鶏の旨みを最大限まで引き上げたスープ

 同店の鶏白湯スープは、大量の丸鶏・手羽先から惜しげもなく出汁を採り、鶏ならではのふくよかな肉感を極限まで具現化したもの。上質な洋風スープのようにフルーティーな鶏の滋養味が味覚をじわりと侵襲していく感覚は官能的で、ひと啜りでこのスープの虜になる食べ手も少なくないだろう。これに、名刀のごとくシャープなうま味を有する塩ダレが加われば、鬼に金棒。豊潤な出汁と鋭利なタレ。両者が織りなすコントラストが、この1杯の存在を「記録」でなく「記憶」にとどまるものとしていた。

同店を任されるのは、店主の登愛理沙さん(写真手前)と、スタッフのアミーピーさん(写真奥)の二人
同店を任されるのは、店主の登愛理沙さん(写真手前)と、スタッフのアミーピーさん(写真奥)の二人

「東京スカイツリー駅の近辺が、最近、東京東部の中でも屈指の激戦区となりつつあることは重々承知しています。近隣に名だたる実力店が複数ある中で、自分が手掛けるラーメンがどこまで通用するのか。納得がいくまで試してみたいんです」と意気込む創業者の正木店主の姿は、同店で腕を振るうスタッフにとって、さぞかし心強い存在であるに違いない。「まずは、看板メニューである鶏白湯の味をしっかりと固めたい。メニューを増やすのは、その後でも十分です」。そんな地に足がついた姿勢にも、素直に好感が持てた。

・・・・・・・

(※)2017年10月25日、群馬県高崎にオープンした『高崎店』も含めれば4号店ということになるが、同店は2018年6月に閉店したため、『高崎店』と『スカイツリー店』の存在時期に重なりはない。『スカイツリー店』のオープン時(本年7月27日)に存在していた店舗は、あくまで本店と『西川口店』の2店舗であるため、3号店と定義するのが適切と考えた。

●SHOP INFO

麺屋時茂スカイツリー店 外観

店名:麺屋時茂スカイツリー店

住:東京都墨田区業平1-13-1
TEL:050-3569-5678
営:11:00~15:00、18:00~22:00
休:月曜

●著者プロフィール

田中一明

フリークを超越した「超・ラーメンフリーク」として、自他ともに認める存在。ラーメンの探求をライフワークとし、新店の開拓、知られざる良店の発掘から、地元に根付いた実力店の紹介に至るまで、ラーメンの魅力を、多面的な角度から紹介。「アウトプットは、着実なインプットの土台があってこそ説得力を持つ」という信条から、年間700杯を超えるラーメンを、エリアを問わず実食。現在までの通算杯数は8,000杯を超える。