濃厚つけ麺の雄『麺屋中川會 』が住吉で仕掛ける淡麗系ラーメンに注目!|田中一明のラーメン官僚主義!

田中一明のラーメン官僚主義!【第9回】麺屋中川會 住吉店【住吉】
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濃厚つけ麺の雄『麺屋中川會』の第2幕が始動!今回は淡麗系で勝負を賭ける

 2011年4月に江東区住吉の地で産声を上げた『麺屋中川會』。同店の店主・中川氏は、ひと言で申し上げれば「努力の人」。11年当時、巷間にあふれ返り熾烈な競争が繰り広げられていた「濃厚豚骨魚介つけ麺」の創作に敢えてチャレンジ。自分自身が納得できる味に辿り着くまで、寝る間も惜しんで試行錯誤を繰り返し、見事、数多くのライバルから抜きん出ることに成功した。

 同店は2016年2月に錦糸町に移転。錦糸町・曳舟・神保町の3ヶ所で営業していたが、この度「始まりの場所」で第2の花火を打ち上げるため、神保町店を畳み、本年3月1日、新たに住吉店をオープン(※1)。

 「住吉は、自分にとっての原点。新星『中川會』を披露する場はこの地と決めていた」と意気込む。今回、同店が新たに看板メニューに掲げるのは「醤油そば」。店主にとって、淡麗系を主力メニューに抜擢するのは初めての経験であり、商品化に漕ぎ着けるまでに3ヶ月もの歳月を要した。

 千葉の『千葉下総醤油』、東京の『東京キッコーゴー丸大豆醤油』(※2)、『ヒゲタ濃口醤油』をブレンドしたタレは、膨らみがちな甘みを絶妙なバランス感覚で抑えた、研ぎ澄まされた日本刀のような切れ味が印象的。

 スープには、2種類の出汁を提供直前に合わせる「Wスープ」の製法を採用。青森県産丸鶏・国産鶏ガラ・もみじを9時間炊き込み、温度を安定させてから干し椎茸・生椎茸を投入した動物系出汁。10時間かけて昆布やホンビノス貝を炊き込んだ魚介出汁。その両者を2:1の割合で紡ぎ合わせたスープは、啜った瞬間、椎茸の芳香が鼻腔を潤し、その後を追うように鶏の滋味が味覚中枢を打ち抜く。食べ進めるにつれて、加速度的に増幅する鶏のうま味とコクには、誰もが頬をゆるませるに違いない。  

 スープに注ぎ込む液状油は、鶏油にフォアグラを仕込んだ特製品。チャーシューの上に搭載されたフォアグラソースとの相乗効果により、他の追随を許さない妖艶な薫りを演出。

 「これからも日々、味の改良を怠らず、究極の淡麗醤油を目指していきたい」と胸を張る店主。濃厚つけ麺で天下を制した中川店主の第2のチャレンジに、心の底からエールを送りたい。

(撮影・松山勇樹)

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(※1)現在『中川會』は、どこに行けば食べられるのか?
 江東区の住吉、墨田区の錦糸町・曳舟の3ヶ所で店舗展開している。神保町店は本年2月付で閉店。今後は「住吉店」に本店機能を担わせ、最新鋭のメニューを提供。「錦糸町店」はファミリー向け店舗として、好き嫌いが出ないメニューの提供に特化。「曳舟店」では引き続き、鶏を全面的にフィーチャーしたメニューを提供していく予定というのが、中川店主の展望。


(※2)「東京キッコーゴー丸大豆醤油」とは?
 東京都あきる野市の名門醸造所『近藤醸造』で製造される醤油のひとつ。国産大豆と小麦を使用し、1年の歳月をかけて発行熟成された本醸造醤油。澄み切った色合い、豊かな香り、コク深い味わいを特徴とする。

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●SHOP INFO

麺屋 中川會 住吉店

店名:麺屋 中川會 住吉店

住:東京都江東区住吉1-19-1 ツインタワーすみとし住吉館
TEL:03-6666-9331
営:11:30~15:00 18:00~21:00
休:無休
醤油そば(850円)のほか、濃厚魚介つけめん(850円)も人気。

●著者プロフィール

田中一明

フリークを超越した「超・ラーメンフリーク」として、自他ともに認める存在。ラーメンの探求をライフワークとし、新店の開拓、知られざる良店の発掘から、地元に根付いた実力店の紹介に至るまで、ラーメンの魅力を、多面的な角度から紹介。「アウトプットは、着実なインプットの土台があってこそ説得力を持つ」という信条から、年間700杯を超えるラーメンを、エリアを問わず実食。現在までの通算杯数は8,000杯を超える。