ラーメン官僚が絶賛! 『らぁめん小池』の3rdブランド『キング製麺』の「白だしラーメン」が旨すぎる!

ラーメン官僚が絶賛! 『らぁめん小池』の3rdブランド『キング製麺』の「白だしラーメン」が旨すぎる!
食楽web

実力派店主の自家製麺を存分に堪能できる名店が登場

 ロケーションは、各線王子駅から徒歩5分程度。駅前から緩やかな坂道を登り、北区役所を横目で見ながら歩みを進めると、やがて、落ち着いた深緑色に彩られたシックな外観が視界へと飛び込んでくる。それが、今回ご紹介する『キング製麺』だ。

 同店のオープンは、2019年3月23日。切り盛りするのは、『ミシュランガイド東京』のビブグルマン部門掲載常連店『らぁめん小池』と、昨年『ミシュランガイド東京2019』の同部門に掲載された『中華蕎麦にし乃(※)』の2軒を率いる水原店主。

「白だしラーメン」800円
「白だしラーメン」800円

「ご承知のとおり『にし乃』では、大人の街本郷のイメージに沿った、歳月の経過によっても風化しないラーメンを創ってきました。この『キング製麺』で取り組んでいきたいのは、ズバリ!麺づくり。これまでの店舗では製麺所から麺を取り寄せていましたが、自家製麺に挑戦したいという想いが徐々に募ってまいりまして」と笑う。

店主の水原さん。「食べ応えのあるエビのワンタンと肉のワンタンが4個も入った『ワンタン麺』1,040円も人気です」
店主の水原さん。「食べ応えのあるエビのワンタンと肉のワンタンが4個も入った『ワンタン麺』1,040円も人気です」

 自家製麺を手掛けるに当たっては同業者の友人から知恵を拝借し、「自分が創るラーメンの麺にも活用できそう」だと感じた手法は、積極的に採り入れていったのだという。ミシュラン掲載店舗を2軒も抱えるラーメン創作の名手でありながら、天狗にならない謙虚な人柄は、『にし乃』を開業した1年前と何ら変わるところがない。

「できるだけ多くのお客さまに召し上がっていただきたいので価格は抑えていきたい。なので、スープに用いる素材は『ブランドもの』『銘柄もの』ではありません」。

『キング製麺』が提供する麺メニューは「白だしラーメン」と「山椒ラーメン」。「つけめん」も近日発売予定とのことであるが、現在のところはその2種類。中でもオススメなのは、券売機筆頭メニューとして君臨する「白だしラーメン」だ。

 スープに片口イワシ・昆布・アサリから採った出汁を用いる点は、『にし乃』と同じ。
 が、「自家製麺の持ち味が最も発揮されるスープを」と、『にし乃』で使用していた動物系出汁は使わず、代わりに大量のカツオを採用。
 素材を魚介だけに絞り込むことで、コクこそ減殺されるが、香りと味わいは格段に研ぎ澄まされクリアになる。そのスープを、自家製の平打ちストレート麺が余すところなく拾い上げ、口元へと運び込むのだ。これを飲んで感動のため息を漏らさない食べ手など、存在しないだろう。

 それだけではない。スープ表面に大小様々な円弧を描くラード油が、上品に傾きがちなこのスープに絶妙な塩梅で野趣味を添えている点も、この1杯においては見逃せない要素。
 鏡面のように麺肌滑らかな自家製麺が、スープのみならずラード油も抜かりなく回収。乾物の和風味とラードの香味が舌上で一体と化し、ビッグバンのように口腔内で炸裂する。そんなうま味の動的な移ろいに、しばし恍惚の境地に陥ってしまった。
「中華蕎麦を饂飩(うどん)のようにアレンジしたい」。常々水原店主が口にしている言葉だが、同店の「白だしラーメン」は、そんな店主の理想が体現された1杯だと感じた。

・・・・・・・

(※)『にし乃』は、本連載(『田中一明のラーメン官僚主義!』)でもご紹介したことがある、2018年2月にオープンした本郷三丁目の人気店。
オープンは昨年とまだ日は浅いが、同年に刊行された『ミシュランガイド東京2019』のビブグルマン部門に掲載されるなど、本連載で予見したとおりの大躍進を遂げている。

●SHOP INFO

キング製麺

店名:キング製麺(きんぐせいめん)

住:東京都北区王子本町1-14-1 高崎ビル 1F
TEL:非公開
営:11:00~15:00
休:火曜、金曜 ※不定休あり

●著者プロフィール

田中一明

フリークを超越した「超・ラーメンフリーク」として、自他ともに認める存在。ラーメンの探求をライフワークとし、新店の開拓、知られざる良店の発掘から、地元に根付いた実力店の紹介に至るまで、ラーメンの魅力を、多面的な角度から紹介。「アウトプットは、着実なインプットの土台があってこそ説得力を持つ」という信条から、年間700杯を超えるラーメンを、エリアを問わず実食。47都道府県のラーメン店を制覇し、現在は各市町村に根付く優良店を精力的に発掘中。