田中一明のラーメン官僚主義!【第5回】京紫灯花繚乱【四谷三丁目】

京紫灯花繚乱
食楽web

創作「塩」の実力店『灯花』の3号店が誕生。テーマは「正統」と「京都」!

同店の紹介に入る前に、まずは『灯花』グループのおさらいから。

同グループの始まりは、2012年、四谷三丁目に創業した『塩つけ麺灯花』から。同店では、濃厚つけ麺が隆盛を極めていた当時において、流行に捉われない淡麗タイプの塩つけ麺を提供。カミソリのように鋭利なキレ味を誇る清湯塩スープの味わいはまさしく唯一無二であり、瞬く間に都内屈指の人気店へと成長を遂げた。

また、2015年には第2号店である『鯛塩そば灯花』をオープン。宇和島産の真鯛を用いた独創的な鮮魚系塩ラーメンが評判を呼び、全国区の知名度を獲得したことは記憶に新しいところである。

そんな『灯花』グループが、昨年11月、満を持してオープンさせたのが、こちらの『京紫灯花繚乱』だ(※1)。

「これまでは、塩ラーメン専門店として、一心不乱に『他店にない味』を創り続けてきた。1号店のオープンから、今年で5年目。この『灯花繚乱』では、一度、世代を超えて愛される、スタンダードな醤油ラーメンを提供してみたいと考えた」

そんな店主の思いは、今回ご紹介する「中華そば」の味わいに見事に結実している。

スープは、日本の食文化にとって必要不可欠なカツオ節を前面に押し出した和風テイスト。加えて、香味油にもカツオを用いることで、啜った瞬間からカツオの豊潤な香りが口元から鼻腔へと駆け抜けるギミックを構築。

「とはいえ、全くのありきたりでは面白くないので、『京都』という地域色もコンセプトに加えてみた」と店主。

カエシには、創業130年を超える京都の名門醸造所『澤井醤油』の再仕込み醤油を使用。麺も、京都が誇る『麺屋棣鄂』のものを用いるなど、京都産の食材を積極的に採用する。

京の食卓に日常的に登場する「油揚げ」をトッピングに配する発想力にも、脱帽の一言。この「油揚げ」からジワリと沁み出る油によって、うま味豊かなカツオスープに更なるコクが加わり、食べ手が箸を休める暇を与えないのだ。

スタンダードと自称するが、単なる京都ラーメンの模倣ではなく、『灯花』らしさがしっかりと息づいている(※2)。実力店が手掛ける新ブランドの看板にふさわしい貫禄の1杯だ。

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(※1)1号店『塩つけ麺灯花』、2号店『鯛塩そば灯花』、3号店『京紫灯花繚乱』ともに、四谷三丁目近辺に店舗を構えており、同エリアは、さながら灯花の拠点といった様相を呈している。

同店以外にも近年、1号店のすぐ近くに2号店や3号店を構える店舗が増加傾向にある。例えば、国分寺の『ムタヒロ』、新小岩の『一燈』などが代表例であるが、同一のエリアに複数の店舗を置くことで、国分寺と言えば『ムタヒロ』、新小岩と言えば『一燈』などといった、地域名とセットになったブランドイメージを創り出すことができる。

    

(※2)京都ラーメンとは?

京都市及びその近隣において提供される地ラーメンの総称。「京都」と言えば、京懐石等のイメージから、ラーメンもあっさりしていると思われがちだが、『新福菜館(豚骨系)』、『ますたに(背脂鶏系)』、『天下一品(鶏濃厚系)』など、うま味が濃厚なこってりラーメンが主流である。そのような意味合いにおいて、『灯花繚乱』の「中華そば」は、京都ラーメンを模したものではなく、あくまで、「京都」というイメージを『灯花』流に解釈した1杯だと考えられる。

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●SHOP INFO

京紫灯花繚乱【四谷三丁目】

店名:京紫灯花繚乱【四谷三丁目】

住:東京都新宿区四谷4-7 小林ビル1F
TEL:03-3357-2221
営:営業11:00~21:30
休:日曜休
写真の一杯は「中華そば」(780円)。その他、「京山椒薫る濃厚坦々麺」(850円)も人気

●著者プロフィール

田中一明

フリークを超越した「超・ラーメンフリーク」として、自他ともに認める存在。ラーメンの探求をライフワークとし、新店の開拓、知られざる良店の発掘から、地元に根付いた実力店の紹介に至るまで、ラーメンの魅力を、多面的な角度から紹介。「アウトプットは、着実なインプットの土台があってこそ説得力を持つ」という信条から、年間700杯を超えるラーメンを、エリアを問わず実食。現在までの通算杯数は8,000杯を超える。