麻婆麺ブームの東京に堂々の凱旋。大阪が痺れた人気店のポテンシャルは∞!
2018年12月1日に大阪・心斎橋の地に産声を上げた『スパイス食堂サワキチ』(※1)。関西圏においては未だ珍しい存在である「麻婆麺」を看板メニューに掲げ、瞬く間に浪速(なにわ)っ子からの絶大な支持を獲得。翌2019年4月24日には大阪・東梅田に2号店を出店し、そのわずか1ヶ月半後の6月8日に都内へと進出してきた人気店だ。(※2)
1号店がオープンしてから約半年での東京凱旋は、まさに破竹の勢い。店内で溌溂と飛び交う威勢の良い関西弁の掛け声が、同店の快進撃ぶりを象徴しているようだった。
さて、このあたりで、この店のロケーションを簡単に説明しておきたい。最寄り駅は、東京メトロ日比谷線築地駅、又は、都営大江戸線築地市場駅。それぞれの駅からの距離は300~400m程度。駅の改札を出てからおよそ5分もあれば到達できる至便な立地だ。
『サワキチ』が提供する麺メニューは「豚骨麻婆麺」「カレー麻婆麺」「麻辣麻婆麺」「モッツァレラ麻婆麺」の4種類。中でも、初訪問時に必ず召し上がっていただきたい基本メニューは「豚骨麻婆麺」だ。
豊潤でコクのある濃厚豚骨スープに、おびただしい分量の麻婆豆腐をオンする構成は、既に「麻婆麺」が市民権を獲得しつつある都内においても中々レア。通常「麻婆麺」は、鶏ガラ、煮干し等から出汁を採ったあっさり系スープに麻婆を載せるのが定石。そこを、敢えて引きが強い濃厚豚骨スープと合わせることで、『サワキチ』ならではのオリジナリティをしっかりと確保している。
「麻婆と豚骨スープは共に個性が強いアイテム。なので、丼の中で旨みが喧嘩するのではないか」と思われるかもしれないが、そんな心配は全くの杞憂。
同店の豚骨スープは、豚特有の臭いを徹底的に抑え込み、最大限の甘みとコクを演出したもの。むしろ、ほのかな甘みが麻婆の辛みを一層引き立たせ、深みのあるコクが麻婆の旨みを増幅させる役割を担っている。食べ始める前にスタッフから「麻婆とスープをよく混ぜてお召し上がりください」とのアドバイスがあるが、それも宣なるかな。私もつい「ミキサー」のように、丹念な攪拌作業を遂行してしまった次第だ。
麺も、押さえどころを的確に押さえた良品。鏡面のように滑らかな麺肌が拾い上げる麻婆&スープの分量は、驚嘆の声を上げてしまいそうになるほどボリューミー。麻婆豆腐の生命線でもある豆腐と挽き肉も、物足りなさを全く感じさせない大きさだ。
「少したりとも麻婆を残さないように」と、鵜の目鷹の目で丼を見据える自分の姿に、思わず吹き出してしまった。麺メニューのほか、麻婆・カレーを使ったご飯ものや一品料理も、幅広く取り揃える同店。複数名で足を運び、優雅なディナータイムを満喫するのも「アリ」な選択肢だろう。
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(※1)元々は、柑橘系のサワー飲料を提供する『サワー・ド・キッチン』というサワー専門店だったが、スパイス系メニューを充実させ『スパイス食堂サワキチ』へと業態変更したという経緯がある。
(※2)東京築地店のオープン後、2019年9月30日には、大阪・肥後橋の地に4号店をオープンさせている。
●SHOP INFO
店名:スパイス食堂サワキチ 東京築地店
住:東京都中央区築地6-21-4 大長ビル 1F
TEL:03-6260-6288
営:11:00~15:00(L.O14:30)、17:00~24:00(L.O23:30)
休:不定休
●著者プロフィール
田中一明
フリークを超越した「超・ラーメンフリーク」として、自他ともに認める存在。ラーメンの探求をライフワークとし、新店の開拓、知られざる良店の発掘から、地元に根付いた実力店の紹介に至るまで、ラーメンの魅力を、多面的な角度から紹介。「アウトプットは、着実なインプットの土台があってこそ説得力を持つ」という信条から、年間700杯を超えるラーメンを、エリアを問わず実食。47都道府県のラーメン店を制覇し、現在は各市町村に根付く優良店を精力的に発掘中。