実力はすでに全国級!ブレイク必至の竹ノ塚『つけ麺 和』はなぜ旨い?|田中一明のラーメン官僚主義!

今年は年初から早速、大物が爆誕!店主は、亀有の行列店『つけ麺道』出身

実力はすでに全国級!ブレイク必至の竹ノ塚『つけ麺 和』はやはりスゴかった
特製つけ麺1,000円 | 食楽web

 オープンは、本年1月9日。昨年の余韻も冷めやらぬ年明け早々、竹ノ塚の地に超大型新店が誕生した。それが、こちらの『つけ麺和』だ。

 店主は、亀有の実力店『つけ麺道』で研鑽を重ね、満を持して独立。亀有と言えば、先般ご紹介した『ののくら』を始め、数多くの優良店がしのぎを削る都内屈指のラーメン激戦区。そんな亀有でも頂点に君臨する名店『つけ麺道』(※)。そのセカンドブランド『道の豚』で店長まで務め上げた店主の力量は、伊達ではない。

 ロケーションは、東武スカイツリーライン竹ノ塚駅西口から徒歩2分。駅から住宅地へと至る動線上に位置する立地の利に、そもそもの期待値の高さも相まって、オープンから1ヶ月と経たない間に、完全に行列店として定着するに至った。

 同店が手掛けるのは、「つけ麺」「濃厚担々つけ麺」及びそのバリエーション。汁そばにまで手を広げず、メニューをつけ麺一本へと絞り込む姿勢から、作り手である店主の矜持がひしひしと伝わってくる。

真剣な表情でつけ麺を作る店主
真剣な表情でつけ麺を作る店主

 基本メニューは、もちろん「つけ麺」。
 脂肪分が少なく臭みがない「あべどり」を軸に豚骨等を合わせ、強火で2日間煮込んだ動物系出汁と、サバ節・煮干し・アゴ・宗田節・上質な鰹節から採った魚介出汁。これら2種類の出汁を、長年の修業で培った経験を基に絶妙なバランスでブレンドさせたスープは、一滴一滴に余すところなく山海の滋味を宿すスケール感が食べ手を圧倒。

 スープと合わせるカエシにも勿論、全力が注がれる。濃口醤油のみを用いコク深さを演出するとともに、塩味を抑え甘みをフィーチャー。スープとカエシの合わせ技で、名うてのラーメンマニアにさえ、別格だと認めさせるだけの説得力を持たせる。数多くの色彩を重ね合わせた艶やかな「十二単(じゅうにひとえ)」のように、様々な風味を折り重ね、口内で輻輳する旨みを創り出す。ともすれば「定番」という枠で一括りにされがちな「動物&魚介系濃厚つけ麺」だが、高い技量を有する者が真面目に創れば、これほどまでの高みに上り詰めることができるのかと、感服せざるを得ない。

濃厚坦々つけ麺900円
濃厚坦々つけ麺900円

 このスープに合わせる麺も、非の打ち所のない逸品。修業先と同じく、名門『カネジン食品』のストレートを採用。小麦の風味がミッチリと詰まった、啜るよりもワシワシと囓るタイプの極太麺は、スープの持ち上げ、スープとの相性ともに抜群だ。
 「小皿で提供される『自家製ニンニク醤油』を麺に浸けながら召し上がっていただくと、旨みの厚みが更に増しますよ。カエシの塩味を抑えたのも、実は、ニンニク醤油と合わせたときに味が上手くまとまるようにするためです」と笑う店主。オープン早々にして、そこまでの深謀遠慮を巡らせることができるとは!完成度の高さは、既に全国区の領域。「ブレイクするのも、もはや秒読み段階だろうな」と確信し、スープを飲み干した。

(撮影◎田中章雅)

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(※)『つけ麺道』とは?
 2009年7月に亀有の地で開業。元々、行列ができる濃厚つけ麺の人気店だったが、食べログの人気ランキング『食べログJAPAN RAMEN AWARD2016』で第1位の栄冠に輝いて以来、ほぼ常に2時間待ちは覚悟しなければならない、全国トップクラスの行列店にまで成長を遂げている。
 極めて長い待ち時間がネックとなることに間違いはないが、生活拠点を都内に置くつけ麺愛好家であれば、一度は足を運んでおきたい名店中の名店。

●SHOP INFO

つけ麺 和

店名:つけ麺 和

住:東京都足立区西竹ノ塚1-12-9 共栄ビル1F
TEL:03-5856-9377
営:11:00~15:00 18:00~21:00
  日曜は11:00~18:00前後
※売り切れ次第終了
休:月

●著者プロフィール

田中一明

フリークを超越した「超・ラーメンフリーク」として、自他ともに認める存在。ラーメンの探求をライフワークとし、新店の開拓、知られざる良店の発掘から、地元に根付いた実力店の紹介に至るまで、ラーメンの魅力を、多面的な角度から紹介。「アウトプットは、着実なインプットの土台があってこそ説得力を持つ」という信条から、年間700杯を超えるラーメンを、エリアを問わず実食。現在までの通算杯数は8,000杯を超える。