天丼×ラーメンの禁断コラボ! 天ぷらの老舗『ハゲ天』のラーメンが絶品だった | 田中一明のラーメン官僚主義!

天丼×ラーメンの禁断コラボ! 天ぷらの老舗『ハゲ天』のラーメンとは?
「天丼とらぁ麺」(1,380円) | 食楽web

天ぷら専門店の老舗『ハゲ天』がラーメンの提供を開始!禁断のコラボで世界進出を狙う

 2018年3月2日、正真正銘、銀座の一等地に位置する「銀座すずらん通り」沿い(※1)に、天ぷら専門店として名を馳せる『銀座ハゲ天』がオープンした。と言えば、「『ハゲ天』の支店の新規オープンじゃないか」と思われるかも知れない。『銀座ハゲ天』は、創業90年を数える天ぷら料理の老舗。確かに立派な店であるが、それだけであれば、ラーメン店を採り上げるコラムで紹介することはナンセンスだ。

 でも、少々お待ち願いたい。このお店、外観をよく観察すれば、街中でよく見掛ける『ハゲ天』とはロゴが違うのだ。更につぶさに見ると、店名も『天丼・らぁ麺ハゲ天』となっており「らぁ麺」の三文字が明確に記されている。

 そう、こちらの『天丼・らぁ麺ハゲ天』は、『ハゲ天』の名を冠しながら、天ぷら類と合わせてラーメンも提供する、同店初の新業態なのだ。しかも、手掛けるラーメンは、超人気店『一風堂』などを展開する『力の源カンパニー』のコンサルティング部門と共同で開発したもの。

 その結果、天ぷら屋が片手間で提供するラーメンとは次元を異にする本格派の1杯が完成。オープンしてから日が浅いにもかかわらず、ラーメン愛好家の間で評判を呼ぶほどの出来映えを誇っている。

写真は「胡麻豚骨らぁ麺」(980円)。他に「胡麻担々麺」(1,080円)もある
写真は「胡麻豚骨らぁ麺」(980円)。他に「胡麻担々麺」(1,080円)もある

「『一風堂』のラーメンに採り入れているノウハウを活かしながら、天ぷらに合うようにと、更なる試行錯誤を重ねた結果、『天丼・らぁ麺ハゲ天』のラーメンができました」と胸を張る。甘じょっぱく濃厚な天ぷらのタレの味と調和させるべく、出汁の濃度を若干薄める代わりに、どっしりと落ち着いた風味を持ち味とする「鰆(さわら)」の魚粉を加え、メリハリ豊かな旨みを演出。

代わりに背脂を用いることで、サッパリとした食べ口を実現したんです」と笑う。仕上げに、ゴマの風味をわずかに添え、天ぷらの旨みとのシンクロを図っている。ラーメンという食べ物を熟知したギミックに、頭が下がるばかりだ。

厨房に立ち腕を振るうのは、料理長の野原さん
厨房に立ち腕を振るうのは、料理長の野原さん

 このスープとタッグを組ませる麺は、『一風堂』の通常メニューに使われる麺よりも更に細い、切刃30番手の硬ストレート(※2)。「ボリュームがあるように見えるでしょう(笑)。実は、麺量は80gなんですよ。麺を細くすることで、一定の分量感が出せるわけです」。

 ラーメンのセットメニューとして供される丼ものも、『ハゲ天』のクオリティが確保された一級品。180gのご飯と麺を合わせて260g。是非、足を運び、禁断の炭水化物ワールドを堪能していただきたい。

(撮影◎佐々木和隆)

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(※1)メトロ各線銀座駅から徒歩2分程度の好立地である。「銀座すずらん通り」の入口(晴海通り側)からは、徒歩30秒程度。

(※2)番手とは?
「30mm」の幅で何本の麺が取れるかによって決まる数字。数字が大きくなるほど麺幅は細くなり、小さくなるほど麺幅は太くなる。具体的には、30mmを番手の数字で除したものが麺幅となる。例えば、『天丼・らぁ麺ハゲ天』で使用される麺の番手は30番であるが、その場合、麺の幅は30mm÷30(番手の数字)=1mmである。

●SHOP INFO

天丼・らぁ麺ハゲ天 店内

店名:天丼・らぁ麺ハゲ天

住:東京都中央区銀座5-6-7 銀座七宝ビル
TEL:03-3289-8910
営:11:00~22:30(LO22:00)
休:元旦
https://www.hageten.com/

●著者プロフィール

田中一明

フリークを超越した「超・ラーメンフリーク」として、自他ともに認める存在。ラーメンの探求をライフワークとし、新店の開拓、知られざる良店の発掘から、地元に根付いた実力店の紹介に至るまで、ラーメンの魅力を、多面的な角度から紹介。「アウトプットは、着実なインプットの土台があってこそ説得力を持つ」という信条から、年間700杯を超えるラーメンを、エリアを問わず実食。現在までの通算杯数は8,000杯を超える。