
JR山手線・京浜東北線、東京メトロ千代田線、日暮里舎人ライナー。西日暮里駅は、これらの路線が交差する交通の要衝のひとつ。そして、同駅を中心に広がる西日暮里エリアは、駅前に日本屈指の進学校として名を馳せる開成中学・高等学校を中心に、数多くの進学塾・学習塾が狭い範囲内に密集する、都内でも指折りの学生街として知られています。
しかしラーメンの話に限って言えば、同エリアは、他の山手線沿線の駅周辺と比較すれば、いわゆる実力店と呼ばれる店が少なく、たまに有力になりそうなラーメン店が開業しても、なかなか同地に根付くことがありませんでした。
千代田線の隣駅である千駄木駅まで足を延ばせば優良店が複数存在するものの、端的に申し上げて、西日暮里という街は、ラーメンマニアにとってはやや物足りないエリアだと認識されており、この閉塞状況を打破しうる有力店の登場が待たれていました。
2020年12月4日、そんな西日暮里エリアのラーメンシーンに、一筋の光明が差し込む出来事がありました。それが、今回ご紹介する『えどもんど』の誕生です。
同店の店主は、猪又 穣氏。猪又氏と言えば、煮干しラーメン専門店『中華そばいづる』を東京・大門(浜松町)の地に創業し、その腕ひとつで都内を代表する人気店にまで押し上げたスゴ腕ラーメン職人。
そんな方が、今般、新たに『えどもんど』という、二郎インスパイア系のガッツリラーメンを出す店をオープンさせたというではありませんか。個人的には、これまで同氏が携わってきた煮干しラーメンとタイプを全く異にする二郎系ラーメンを、どのような形でまとめ上げてくるのか、非常に気になるところ。

そのあたりの実態を自分自身の舌で確かめてみたいと考え、開業のお祝いも兼ねて、早速お店へと足を運んできた次第です。
木材の柔らかな質感をさりげなく活かした扉に、薄橙色の暖簾。扉の横に掲げられた「えどもんど」のフォントからそこはかとなく漂う遊び心に、思わずニヤリとさせられます。
オープンしてまだ日が浅いにもかかわらず、店の前に連なる長蛇の列が、食べ手が抱く同店への期待値の高さを雄弁に物語っています。それにしても、開成高校の生徒さんが多いなあ。今月オープンしたばかりなのに、早くも、同校のご用達店として認知されているようです。