動物系×魚介系の黄金バランスに感涙! 『江戸前つけ麺 銀座魄瑛』の「特製つけ麺」|田中一明のラーメン官僚主義!

動物系×魚介系の絶妙なバランスに感涙! 『江戸前つけ麺 銀座魄瑛』の「特製つけ麺」が旨い
食楽web

超大型新人が東銀座に降臨! 「特製つけ麺」は、食べ終わりまで堪能できる高いエンターテイメント性が魅力

 ロケーションは、東京屈指の繁華街・銀座の中でも中心部として名高い四丁目エリア。そんな銀座四丁目の路地裏にひっそりと佇むのが、今回ご紹介する『江戸前つけ麺銀座魄瑛(はくえい)』(※1)だ。

 同店が入居するのは、高級感漂うビルディングの2階。同じビルの1階に鎮座するシュークリーム専門店『銀座緑花堂』(※2)が、店舗の所在を示すランドマークだ。1階から『魄瑛』がある2階に上がるだけでも、階段でなくエレベーターを使用。まるで一流レストランへと趣くかのような高級感のあるアプローチに戸惑う人も少なくないかも知れないが、どうかご安心願いたい。勇気を出してエレベーター2階のボタンを押せば、早坂店長を始めとするスタッフのフレンドリーな接客が、緊張を確実にほぐしてくれるはずだ。

1,200円
1,200円

 エレベーターの扉が開くと券売機が視界に入り、訪問客はその券売機で食券を購入し、入店するシステム。看板メニューは「特製つけ麺」。同メニューは、日本を代表するラーメン作りの名手・塚田氏の手によるもの。塚田氏と言えば、出身地である信州のラーメンシーンに革命を起こし、『烈士洵名』『本枯中華そば魚雷』『悪代官』『チラナイサクラ』等、錚々たる人気店を手掛ける実力派グループ『ボンドオブハーツ』の代表。食べ手の琴線に触れる1杯を創るのはお手のものだ。

 中でも、同店で提供される「特製つけ麺」は、これまでに塚田氏が開発してきた数多くのラーメンと較べても、力の入れ具合がアタマひとつ抜きん出ている。スープは、丸鶏をじっくりと煮込み旨みの粋を搾り取った清湯出汁と、大量の江戸前シジミを一気に炊き上げて創った貝出汁とを、提供直前に絶妙なバランスでブレンドしたもの。啜り上げた瞬間、シジミの艶やかな風味が口内で放射線状に拡がり、その後を追うように、滋味深い鶏のうま味が味覚中枢の深奥を貫く。鶏の存在感を、支配力が強いシジミの味わいと拮抗させるため、青森県産の鶏から採った鶏油を鶏出汁に折り重ねるギミックは、鶏づかいに定評がある同氏の真骨頂だ。

 スープだけではない。塚田氏が同メニューに施した「技」は、麺やトッピングにも及ぶ。

 麺に石臼挽きの信州産小麦を採用し、「大地」の香りを付与。さらに、白トリュフオイルで麺に香り付けを施すことで、芳醇なシジミ&鶏とのマリアージュを狙う。麺の上に据えられた純白のシジミムースも、特筆すべきアイテム。ムースをしっかりと絡め、つけダレにディップさせた麺を一気に啜り上げれば、シジミ・鶏・麦・トリュフのカルテットが舌上で渾然一体と化し、類例なきうま味の坩堝を形成。全ての食べ手を忘我の境地へと誘い込む。

厨房に立ち腕を振るうのは、この店の店長・早坂さん
厨房に立ち腕を振るうのは、この店の店長・早坂さん

 食事中のお客さんには「お味はいかがですか」、食事を終えたお客さんには「お味はいかがでしたか」と、丁寧に声を掛けるスタッフの姿勢にも好感が持てる。至高の味わいと真摯な接客。小憎らしくなるほど隙のない良店だ。

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(※1)本年5月28日、メニューを絞り込んで提供する「プレオープン」という形で始動。7月には、メニュー数を増やし「グランドオープン」に踏み切る予定とのこと。(6月27日現在)

(※2)同店は、『魄瑛』と同じ企業が経営。

●SHOP INFO

江戸前つけ麺 銀座魄瑛 外観

店名:江戸前つけ麺 銀座魄瑛

住:東京都中央区銀座4-10-1 HOLON GINZA 2F
営:11:00~15:00、17:00~22:00(LO21:30)
休:日月曜
https://www.instagram.com/ginza_hakuei/

●著者プロフィール

田中一明

フリークを超越した「超・ラーメンフリーク」として、自他ともに認める存在。ラーメンの探求をライフワークとし、新店の開拓、知られざる良店の発掘から、地元に根付いた実力店の紹介に至るまで、ラーメンの魅力を、多面的な角度から紹介。「アウトプットは、着実なインプットの土台があってこそ説得力を持つ」という信条から、年間700杯を超えるラーメンを、エリアを問わず実食。現在までの通算杯数は8,000杯を超える。