新宿のラーメンで呑む! サニーデイ・サービス田中貴が提唱する「ラ飲み」の流儀とは?

ゴールデン街『ビストロPavo』の特製ラーメン

『ビストロPavo』の丈さんが田中さんのために作った特製ラーメン。野性味のあるジビエのダシに負けない旨みたっぷりのカエシ。他にも「マッシュルームのアヒージョ」(300円)など驚きの価格設定のメニューもたくさん
『ビストロPavo』の丈さんが田中さんのために作った特製ラーメン。野性味のあるジビエのダシに負けない旨みたっぷりのカエシ。他にも「マッシュルームのアヒージョ」(300円)など驚きの価格設定のメニューもたくさん

 まず訪れたのは、ゴールデン街にある『ビストロPavo』。こちらは、別の店で知り合った飲み仲間と最初に訪れて以来、田中さんが6~7年は通うというお店。「しっかりうまい料理を、驚きの価格で出してくれます」と田中さん。

 シェフの丈さんは、ほぼ独学で料理を学んだといいますが、旬の食材を手早く味わい深く調理する手際は、紛うことなきプロフェッショナル。特大のメンチ、いぶりがっこをあわせたポテサラなど、酒飲みのツボも心得ています。この日は「田中さんの取材だから」と特別にラーメンを仕立ててくれました。

丈さんは酒を片手に調理。そのユルい雰囲気もまた、田中さんを惹きつける一因です
丈さんは酒を片手に調理。そのユルい雰囲気もまた、田中さんを惹きつける一因です

 鹿と合鴨のダシにローストビーフのカエシ、麺はかんすいの代わりに重曹を入れて茹でたパスタ。通常のメニューにはなく「完全に実験です」と丈さんは笑いますが、田中さんをして「本当にうまい。コレ出す店があれば通います」とうならせる出来栄えでした。

歌舞伎町『博多食堂』の「博多ラーメン」

この日2杯目のラーメンは『博多食堂』で。正統派の博多ラーメンはさっぱりと味わえ、酒との相性も抜群
この日2杯目のラーメンは『博多食堂』で。正統派の博多ラーメンはさっぱりと味わえ、酒との相性も抜群

 次いで訪れたのは歌舞伎町の『博多食堂』。福岡で修業した店長・才木さんが作る本場のラーメンが名物です。「車で行く東京でのライブは打ち上げがないんです。でもテンションは上がってますから、そんなときはこの飲めるラーメン屋。ここのラーメンは本当にうまい」と言いながら、まずはチャーハンで飲む田中さん。このチャーハンも絶品です。

つまみは「半チャーハン」380円、「一口ぎょうざ」350円、「豚バラ」1本150円など
つまみは「半チャーハン」380円、「一口ぎょうざ」350円、「豚バラ」1本150円など

「うちはチャーシューをラードでコンフィにして作るのですが、そのときラードにバラの風味も移ります。そのラードで炒めるからチャーハンにコクが出るんですね」と才木さん。「最初はただの気の良いお兄ちゃんだと思っていた」という田中さんとも陽気に話す仲です。

新宿三丁目『BAR SHIGET’S』のお通し「素麺」

素麺は日替わりお通しのひとつ。豚バラ、ナス、ネギをダシと土佐醤油で仕立てた特製つけ汁で味わいます
素麺は日替わりお通しのひとつ。豚バラ、ナス、ネギをダシと土佐醤油で仕立てた特製つけ汁で味わいます

 最後の一軒は新宿三丁目の『BAR SHIGET’S』。こちらで田中さんが味わったのが、お通しメニューの素麺。2束たっぷり茹でた素麺に豚バラと土佐醤油のつけ汁をあわせた夏場のお通しメニューのひとつ。これに限らず3~6種からひとつ選べるお通しは、どれも笑えるほどのボリュームです。「自転車でスーパーを回って安い食材を探すんです。お客さんに喜んでほしいから」とはマスターの茂原さん。注ぐ酒の量も一般的なバーの2~3倍はあり、マスターのサービス精神がうかがえます。

山盛りのお通し代金はチャージ900円に含まれ、常時3~6種からひとつを選びます
山盛りのお通し代金はチャージ900円に含まれ、常時3~6種からひとつを選びます

「音楽があって、酒があって、人の良いマスターがいる。バーにこれ以上は何も必要ない」と田中さんも杯を傾けます。楽器を始めた日と初めて買ったレコードの話、自身のライフワークとなった酒とラーメンの話、愛車・フォルクスワーゲン シロッコの話。

 田中さんと巡った新宿の“ラ飲み”の夜は、こうして更けていったのでした。

●SHOP INFO

◯1軒目
店名:ビストロPavo
住:東京都新宿区歌舞伎町1-1-5 パレスビル1-C
TEL:03-6273-8282
営:17:00~24:00
休:日

◯2軒目
店名:博多食堂
住:東京都新宿区歌舞伎町1-11-3 九石・新歌舞伎町ビル1F
TEL:03-6380-3993
営:18:00~24:00、金・土18:00~翌2:00
休:水

◯3軒目
店名:BAR SHIGET’S
住:東京都新宿区新宿3-11-6 エクレ新宿B102
TEL:03-3351-9039
営:19:30~翌3:00、金・土19:30~翌5:00
休:日

(文◎鴫原夏来 撮影◎大谷次郎)

※当記事は『食楽』2019年冬号の記事を再構成したものです