
辛(から)い麺。世に辛いものは数あれど、こと辛いラーメンに関してはひとつのジャンルとして確立されている感があります。そんな辛いラーメン界の中でも、ちょっと気になるお店が。それが『辛麺屋 一輪』。もうね、辛麺という名前からして、辛いの苦手です、という人にとっては腰が引けてしまうネーミングです。
そんなお店にハンパなく辛い新メニューができたと聞き、恐る恐る食べに行ってきましたよ。えっ、辛いモノが得意なのかって? 実は昨年、某有名ラーメン店の“北極”を汗ダクになりながら食べまして(といっても麺だけでスープはちょっと残しでギブアップ…)。それを吹聴していたところ、その話を聞きつけた食楽web、T編集長から謎のオファーが。さすがにあとには引けず「おっいいねぇ!」とノリで応えてしまったわけです。しかもその新メニュー、例の北極より辛いとのこと。はたして完食できるのか。いや、そもそも食べられるのか…。
訪れたのは、渋谷駅から徒歩5分ほどのところにある『辛麺屋 一輪』渋谷店。外観はオシャレなカフェのよう。とってもキレイなお店なんですが、入り口横には唐辛子がディスプレイが。なかなか素敵なお出迎えです。

この『辛麺屋 一輪』、辛いラーメンフリークを狙って作ったお店かと思いきや、そういうわけではないんです。九州・宮崎では以前より“辛麺”という辛いラーメンが多くの人から愛されていて、いまや九州ではメジャーなんだとか。「飲んだあとのシメは辛麺」みたいな存在だそう。そんな辛麺をもっと多くの人に知ってもらいたいという思いから東京に進出し、いまや渋谷、目黒、池袋と3店舗を構えるまでに。
メニューはとてもシンプル。「辛麺」(850円/大盛り990円)、「トマト辛麺」(900円/大盛り1,040円)、「パクチー辛麺」(990円/大盛り1,130円)の3つからベースとなるラーメンを選びます。次に辛さ。0から25(+0~200円)まであり、25でもモノ足りねぇよ!という猛者用に、さらに辛いマグマ(+250円)が用意されています。そして麺の種類も選べます。いわゆる中華麺だけでなく、うどんや雑炊風にできるごはんも選択可。また宮崎辛麺の特徴でもある、そば粉で作られたプルプルの“こんにゃく麺”もあります。


そして今回食べたのは、「辛麺」をこんにゃく麺で。もちろん辛さは“とんでもねぇ”。ん? とんでもねぇ? そんなものメニューにないんですが…。
実はこの“とんでもねぇ”、マグマをクリアした人しか注文できないというシロモノなんだそう。それって、その辺にある辛いモノでは物足りないんだよ、という猛者が喜ぶお食事なんじゃないでしょうか…。大きな声では言えないですが、そんなに辛いの得意じゃないんですよ、実は…。
と今さら言ったところで、オーダーは通っちゃいます。そらそーですよね、それを体験しに来たんですもんね…。
せっかくなので、作っているところを見せてもらうことに。



ここまでは、通常の辛麺と同じとのこと。しかしこのあと問題のシーンを目撃することに…。

そう、“とんでもねぇ”のはここからでした。韓国で売られているというカプサイシンソースを取り出し、お玉ほどもある大きなスプーンで、スープに「でりゃっ、でりゃっ、でりゃっ」と何杯も投入。あー、そうですよねー。



作っているところなんて見なきゃよかった…。そうすれば、なんの予備知識もないから一気に食べられたのに…。きっと辛いもの好きにとっては、あのソースは狂喜乱舞なのかなぁ…。そんなことを考えつつ、席に置かれた「とんでもねぇ辛麺」と対峙。せっかくなので、同時に作ってもらった辛さ5の「辛麺」と比較。

先に5辛の辛麺をひと口いただいてみたのですが、まぁ辛いは辛いんですが、いわゆる辛さの向こうにコクや旨みを感じられ、これなら辛いものはまったくダメという人でないかぎり、美味しくいただけるはず。
あー、この5辛うまいなー。もうちょっと食べたいなー。そんな気持ちを全身からオーラで表現したつもりだったのに、目の前に立つT編集長が冷たい目で「はよ、とんでもねぇを食べろ」というオーラを返してくるじゃないですか。えぇわかりましたよ、食べますよ。おそらくスープからいったら、そこでギブアップして麺にいけない可能性もあるので、ここはあえて麺から。



一瞬、辛さの向こう側に旨みを感じた気がしたんですが、どうやら蜃気楼だったようです…。もしくは彼岸にあったようです。そして食べたことで、彼岸に向かう舟に乗りかけた気がしました…。もうね、辛すぎ。某ノースポールラーメンとは比較にならないぐらい辛い。“漢”を見せてスープもひと口いったんですが、その30秒後ぐらいから、舌先が痛くて痛くて、水を口にふくんで舌を冷やして急場をしのぐ。そしてその様子を冷静に眺めるT編集長。あんた鬼や…。
聞けば、この“とんでもねぇ”、完食した人は何人かいるそう。中には女性もいるとか。たしかに女性の方が辛いものに強いイメージあるかも。
通常の「辛麺」は辛さと旨みのバランスが取れていて、5辛までなら辛いものが得意でない人でも美味しくいただけます。また、にんにく増し(+50円)やニラ増し(+50円)以外にも、チーズ(100円)やわかめ(50円)、韓国のり(50円)といったトッピングや、替え玉(レギュラー150円/ハーフ100円)なども用意されています。

辛いものフリークはもちろん、とんでもねぇを目指していただきたいのですが、そうでない人もぜひ宮崎発祥の辛麺、一度食べてみてください。辛さの向こうの旨さ、やみつきになるかもしれないですよ。ごちそうさまでした。
(取材・文◎&GP編集部 円道秀和)
●SHOP INFO
店名:辛麺屋 一輪 渋谷店
住:東京都渋谷区渋谷3丁目14番4号 服部ビル1、2階
TEL:03-6712-5188
営:11:00~翌0:00(L.O.23:30)
休:無休