ラーメン官僚が厳選する2023年の「最強☆東京ラーメン」7選

牛ラーメンの名店で修業した名手が手掛ける「牛中華」|『らぁ麺屋のさかいさん』(北千住)

「牛中華」1200円
「牛中華」1200円

『らぁ麺屋のさかいさん』は、牛ラーメンの名店『マタドール』の岩立マスターに師事し、『柳麺マタドール(マタドールの2号店)』の店長を経て、今般、岩立氏から店舗を譲り受ける形で独立を許された酒井店主が切り盛りする。「お客さんに親近感を抱いてもらいたい」と名付けた屋号が印象的な1軒だ。

 黄色い屋根、漆黒の外壁、ガラス製の入口越しに覗く真紅の絨毯によって構成されるファザードは、日本中のラーメン店を探訪しても、同店以外には存在しないと断言できそうなほどユニーク。

 現在、提供するレギュラー麺メニューは、「牛中華(醤油ベース)」「塩らぁ麺」と、2023年10月から商品化された「味噌らぁ麺」の3種類。

「牛中華」のスープ。すくった瞬間から牛の旨みを感じられる
「牛中華」のスープ。すくった瞬間から牛の旨みを感じられる

 スープは、「牛中華」「塩」「味噌」の種別を問わない共通仕様。牛骨、膝付きのモミジ等の動物系素材に、2種類の昆布 (羅臼と日高)、シイタケを合わせてじっくりと炊き上げた出汁に、時間差で香味野菜を加えたもの。うま味を増幅させるために昆布とシイタケを大量に使用するなど、経験に裏打ちされたギミックも光る。

 初めてなら、券売機筆頭メニューである「牛中華」がオススメ。

 共通のスープに、牛チャーシューの煮汁から作る醤油ダレと、牛香味油を加え、牛の「油かす」を追加投入することで、ラーメン史上稀にみるダイナミックな牛感を演出することに成功。

スープ素材の一部。2種類の昆布 (羅臼と日高)とシイタケ
スープ素材の一部。2種類の昆布 (羅臼と日高)とシイタケ

 スープの雫が味蕾に触れた刹那、牛の圧倒的なコクと香りが、舌上を起点として同心円状に拡散。「油かす」から沁み出す牛エキスも、スープに更なる厚みを加える役割を全うする。牛素材特有の華美なうま味のトルネードが、食べ手を確実に恍惚の境地へと誘う、垂涎の一杯だ。

●SHOP INFO

店名:らぁ麺屋のさかいさん

住:東京都足立区千住旭町43-13
営:11:30~14:30、18:00~21:00(日・祝11:30~16:00)
休:水曜

●著者プロフィール

田中一明
「フリークを超越した「超・ラーメンフリーク」として、自他ともに認める存在。ラーメンの探求をライフワークとし、新店の開拓、知られざる良店の発掘から、地元に根付いた実力店の紹介に至るまで、ラーメンの魅力を、多面的な角度から紹介。「アウトプットは、着実なインプットの土台があってこそ説得力を持つ」という信条から、年間700杯を超えるラーメンを、エリアを問わず実食。47都道府県のラーメン店を制覇し、現在は各市町村に根付く優良店を精力的に発掘中。