ラーメン官僚が厳選する2023年の「最強☆東京ラーメン」7選

スケール感と懐の深さを合わせ持つ稀代の名杯|『桜上水 船越』(桜上水)

「ワンタンメン(塩)」1150円(※価格は取材時のもの。以下同)
「ワンタンメン(塩)」1150円(※価格は取材時のもの。以下同)

 船越店主は、都内を代表する実力店『渡なべ』の出身。

 オープン当初からスーパールーキーとして高い支持を集め、2023年10月には、一都三県の優良店を表彰する『第24回TRYラーメン大賞2023-2024』の新店部門において、総合第1位の栄誉に浴した。文字どおり、2023年を代表する優良新店だ。

 現在(2023年12月現在)、『桜上水船越』が提供する麺メニューは、「塩中華そば」と、そのバリエーションのみ(醤油は提供休止中)。

旨みが凝縮したスープは、重厚感のある味わいがやみつきになる
旨みが凝縮したスープは、重厚感のある味わいがやみつきになる

 オススメは「ワンタンメン(塩)」。凛とした気品と荒々しい野趣味とを、絶妙なバランス感覚でミクスチャー。「今風の綺麗なラーメンでも、昔風のノスタルジックな中華そばでもなく、適度にジャンクなラーメンを作りたい」。そんな設計思想を、見事に丼へと落とし込むことに成功している。

程よい縮れ感でスープをしっかりキャッチする『三河屋製麺』の特注麺。「三河屋さんいわく、他ではあまりない配合の麺だそうです」と船越店主
程よい縮れ感でスープをしっかりキャッチする『三河屋製麺』の特注麺。「三河屋さんいわく、他ではあまりない配合の麺だそうです」と船越店主

 味わいは、果てしなく重層的。豚(豚ゲンコツ&背ガラ)に由来するダイナミックなうま味と分厚いコクが味蕾にダイレクトアタックを仕掛け、その後を追うように、昆布、煮干出汁に由来する和風味が口いっぱいに拡がる。

 気を緩めると、瞬時に最後の一滴まで飲み尽くしてしまいそうになるほど、うま味が、食べ手の琴線に触れる一杯。開業数十年の老舗にも勝るとも劣らない、深みに満ちた貫禄の味わいだ。

●SHOP INFO

店名:桜上水 船越

住:東京都杉並区下高井戸1-21-10 1F
営:11:00~15:00
休:水曜・不定休