お米とお水だけでできたゲル状の新たな食品素材
「ライスジュレ」を手がけるのは、農業機械で有名な「ヤンマー」傘下のヤンマーアグリイノベーションです。離農や耕作放棄地の増加といった日本の農業の課題に対して、コメの消費拡大や国内農業の活性化などを目指す事業としてライスジュレを展開しています。

ライスジュレは、米と水だけでできたゲル状の食材です。2017年12月から本格的に販売を開始しており、最近では洋菓子店やベーカリー、外食産業などで業務用として採用されているそうです。あの「雪の恋人」で有名な石屋製菓は「Sitoli GATEAU(シトリガトー)」に、お好み焼き専門店の千房は「豚玉 新味~グルテンフリーお好み焼き」として、すでにライスジュレを使った商品を発売しています。


また、ヤンマーもオリジナル商品の「お米でできたフィナンシェ」を発売しています。実際に食べてみたのですが、思った以上にもっちりしていて、お米を使うことでのしっとり感がきちんと出ている印象を受けました。このしっとりさゆえに添加物を使わずに済み、賞味期限が約3か月もあるなど、ライスジュレを使うといいことずくめなんです。

ミシュラン2つ星レストランでもライスジュレを採用
ライスジュレはレストランでも採用されており、ファーストクラスの機内食やクルーズトレインのデザートなどを監修する六本木のレストラン『エディション・コウジシモムラ』もそのひとつ。

今回、メディア向けの試食会ではライスジュレを使った3つの料理が提供されました。いずれの料理も小麦粉の代替というよりは、卵やバター、添加物の代替として使われており、ビーガンな食事を求める人に喜ばれているそうです。
ひとつめは豚のテリーヌ。豚肉を使うので完全なビーガン向けというわけではないものの、卵を使っていないことがポイントです。通常は食材のつなぎとして卵を使用するのですが、そこにライスジュレを用いることで、ナイフを使わなくても食べられるくらいのなめらかさがうまれています。

続いて出されたのが、バナナとチョコレートとラズベリーのデザート。以前はカカオバターを使っていたそうですが、代わりにライスジュレを使っています。こちらも言われるまでわからないぐらい、ライスジュレの存在感は控えめ。やはり食感はなめらかで、舌の上ですっと溶けていきます。

最後に出てきた「国東市西の関の大吟醸の酒粕を使ったアイスモナカ」は、通常はアイスがダレてしまうので安定剤を使っていたが、ライスジュレを使うことで無添加で作れるようになったといいます。

さらに、スポーツ用のエネルギー補給食品や茨城県河内町の学校給食にも採用されるなど、徐々に広がりを見せるライスジュレは、ヤンマーが運営する「プレミアムマルシェ」上での購入が可能です。シュークリームやクリームシチューなどライスジュレを使用した多彩なレシピも公開されています。
小麦粉アレルギーの人はもちろん、グルテンフリーに興味がある人やバターなどの動物性の食材を控えたいと思っている人はぜひライスジュレを試してみてください。
(取材・文◎今西絢美)
●DATA
プレミアムマルシェ