老舗が追求した最強の焼豚が誕生! その名も「悪魔ノ焼豚」。その旨さの秘密に迫る!

食材を追求し、製法にこだわり抜く老舗の矜持

真っ黒に焼き上げられた「悪魔ノ焼豚」も、スライスすればその断面は白く美しい
真っ黒に焼き上げられた「悪魔ノ焼豚」も、スライスすればその断面は白く美しい

 もちろん、「悪魔ノ焼豚」の美味しさの秘密は、炭火だけにとどまりません。焼豚の命ともいえる豚肉には、紅芋を飼料に育てられた沖縄県産の紅豚を使用。鹿児島=黒豚というイメージがあるだけに、なぜ紅豚なのか。そこには「究極の焼豚」を目指した山野井進治氏のこだわりがあります。

「究極の焼豚を作るのにこだわりたかったのがその大きさ。小さな塊と大きな肉塊で焼豚を作るのでは、その味わいの差は歴然なのです」

(左)まるめるように水糸で縛られた肉塊。この縛り方ひとつで焼き上がりも変わる。(右)老舗醤油蔵と共同開発した醤油を使った自家製のタレにじっくりと漬け込む
(左)まるめるように水糸で縛られた肉塊。この縛り方ひとつで焼き上がりも変わる。(右)老舗醤油蔵と共同開発した醤油を使った自家製のタレにじっくりと漬け込む

 だからこそ、この紅豚を山野井氏は選びました。

「通常のギフトで出している焼豚と比べると、「悪魔ノ焼豚」の大きさは2倍以上のおよそ400g。となると、この大きさでも柔らかく焼き上げられることが重要。火を入れても身質がしまりすぎず、赤身にコクがあり、脂も甘くサラッとしている。いくつもの豚肉を試してたどり着いたのが、この紅豚でした」

 タレもこの豚肉に合うようにと、老舗醤油蔵とともに共同開発した醤油を使い調味。焼豚の旨さにしっかりと寄り添います。

地元の炭にこだわるのも、焼豚の味にわずかなニュアンスをつけるため
地元の炭にこだわるのも、焼豚の味にわずかなニュアンスをつけるため

 そして、「悪魔ノ焼豚」の味わいを決定づけるものとして、南さつまという土地の風土があります。それが炭と釜に送る風です。炭に使うのは、地元で育った木から作られる雑炭と呼ばれるもの。東シナ海に面した土地で、潮風にふかれて育った木だからこそ、雑炭にも仄かな塩のニュアンスがつきます。また、釜の中に送る風も、東シナ海から吹き付ける自然の風。その二つの要素が焼豚に絶妙な風味をつけ、この地でしか作り得ない味を生み出すのです。

 事実、イベントで焼豚を作ったときのこと、同じ食材、製法で作ったにもかかわらず、目指すべき味にならなかったことがあったそうで、山野井氏はその時に、この土地の“風”の大切を痛感したといいます。