【SCAJ2017】進化形コーヒープレスに会いに行く【1】『エスプロ』|【コーヒープレス古今東西】

挽いた豆にお湯を注ぎ、時間が来たらレバーを押し下げる。そんな簡単ステップで珈琲豆の味わいが堪能できるコーヒープレス。家事の合間に、仕事の休憩に。初心者からプロまで使えるうえに、手間いらずで実用的。なのになぜか、知名度は今ひとつ。使えばきっと好きになる、愛すべきコーヒープレスの魅力をご紹介します。

【SCAJ2017】進化形コーヒープレスに会いに行く【1】『エスプロ』|【コーヒープレス古今東西】。
食楽web

 2017年9月20日(水)~22日(金)東京ビッグサイトで開催された、アジア最大のスペシャルティコーヒーの祭典『SCAJ2017』。世界各国のコーヒー生産者、機器メーカーなど100社以上が出展するという大規模なもので、今年度の来場者は合計2万9801人。前年よりも約10%増えているそうだから、昨今のコーヒー人気は衰えていないようだ。

 私が駆け込んだのは最終日だったが、会場は人でいっぱい。豆の紹介もさることながら、エスプレッソマシンや焙煎機などのコーヒー器具見本市という役割もあるので、来場者はプロのバリスタやカフェオーナーから、個性豊かな抽出方法による試飲体験を求めてやってきたコーヒー愛好家までさまざまな様子。

 さて、私の目的はと言えば当然、まだ使ったことのないコーヒープレスを試すこと。まずは昨年日本に上陸したカナダ・バンクーバー生まれのコーヒープレス『ESPRO(エスプロ)』に挑戦。

 創立者のブルース・コンスタンティンはマサチューセッツ工科大学出身。祖母がコーヒー農園のオーナーだったことから、コーヒーに愛着を持つようになったのだとか。こちらがその『エスプロ プレス』。

 パッと見の印象は、一般的なコーヒープレスと変わりないように思えるが、よく見ていただくと……あれ、フィルターがふたつ。

 国際特許も取得しているこの二重フィルター構造がエスプロ最大の特徴で、コーヒープレス独特の微粉をほとんどキャッチしてくれるのだ。実際に試飲してみたが、コーヒープレスらしい風味豊かな味わいは残しながらも、すっきりとした飲み口。

 コーヒーを注ぐときにビーカーが外れないよう、フレームにカチッとはめ込むロック機能も付いている。こういう細部への配慮が工科大出身らしさを感じる。また『エスプロ』シリーズには持ち運びできるトラベルプレスもある。

 先ほどのビーカータイプも同様だが、レバーを押し下げてプレスする際に、二重フィルター部分に付いているシリコンパッキンが抽出液と豆を完全に隔離する。そのため、長時間持ち歩いても豆が浸かりっぱなしにならず、余分な抽出を避けることができる。ステンレスの真空二重構造になっているため、保温機能も十分だ。自転車通勤や仕事の外回りなど、持ち歩いて好きなときに飲めるのは心強い。

 なにしろ、プレスらしいコーヒーオイルの味わいを残しながら限りなく微粉を取り除くのが特徴。「豆の味わいをダイレクトに楽しみたいが、コーヒープレス独特の粉っぽさが苦手」「ふだんはドリップコーヒーを飲んでいるが、プレスも試してみたい」という人には相性がよさそうだ。

●著者プロフィール

写真・文/木内アキ

北海道出身、東京在住。“オンナが楽しく暮らすこと”をテーマに、雑紙や書籍、ウェブなどで人・旅・暮らしにフォーカスした文章を執筆。プレスコーヒー歴7年。目標は「きちんとした自由人」。執筆活動の傍ら、夫と共に少数民族の手仕事雑貨を扱うアトリエショップ『ノマディックラフト』を運営中。
HP: http://take-root.jp/