たまごのプロが教える、美味しく食べるための“タマゴ習慣”Q&A

Q1. 大きなL玉を買うほうがお得?

 一般的にスーパーで売っている卵にはM玉やL玉などがあります。一見すると、大きなサイズを選んだほうがお得な気がしますよね。これは農林水産省が決めた取引規格で、以下のように重量が定められています。

・SS……40g以上46g未満
・S……46g以上52g未満
・MS……52g以上58g未満
・M……58g以上64g未満
・L……64g以上70g未満
・LL……70g以上76g未満

 確かに見た目も重量もM玉よりL玉が大きいのですが、実は黄身の重量はあまり変わらず、白身の重量による差なのです。つまり、大きい卵ほど、白身の量が増えるのです。卵のサイズは、卵を産んだ鶏の月齢によって変わります。月齢が若い鶏ほど産む卵は小さく、月齢が高い鶏ほど大きな卵を産みます。

 ちなみに、若鳥が産んだSS玉、S玉、MS玉などの「小玉」は、L玉に比べ、黄身も白身も小さ目ですが、卵自体に活力があり、個人的には美味しく感じます。つまり、“卵は大きければお得”というわけではないのです。

Q2. 白い卵より赤玉のほうが、栄養価が高い?

『田中農場』の卵の黄身は、濃いオレンジ色
『田中農場』の卵の黄身は、濃いオレンジ色

 スーパーなどの卵コーナーに行くと、白い卵と赤い卵がありますよね。卵の殻の色には、白、赤(茶)、その中間色のピンク色などがありますが、栄養価は変わりません。では何が違うのかというと、卵を産んだ鶏の違いです。白い鶏は白い卵を産み、茶色の鶏は茶色の卵を産みます。その掛け合わせの鶏はピンク色の卵を産みます。

 栄養価は全て一緒ですが、茶玉の卵が若干、白玉より高価なのは、茶色の鶏は飼料をたくさん食べる、生産者が良い飼料を与えるなどの事情により、高価になる場合が多いようです。

 また、卵を割ってみると、黄身の色の違いもありますね。これは、鶏の飼料で変わってきます。トウモロコシや大豆をベースに飼料を作ることが多いので、黄身は基本的に黄色です、近年では黄身の色が濃いもの、より濃いオレンジや赤っぽい色、白などがありますが、黄身の色を濃くするにはパプリカやマリーゴールドを飼料に加えます。白くするにはトウモロコシではなく米を与えます。ちなみに、黄身の色を濃くするには、トウモロコシより少々値の張る飼料を添加するので若干、高価になります。

Q3. 買った卵は冷蔵庫の専用ケースに入れるべき?

冷蔵庫の卵入れはドア側に設置されていることが多い
冷蔵庫の卵入れはドア側に設置されていることが多い

 いいえ、パックのまま冷蔵庫の奥のほうに入れるのが正解です。卵の殻には、無数の小さな穴「気孔」があり、そこで呼吸をしています。そのため、臭いの強い食材が多い冷蔵庫の中では、匂い移りを防ぐため、パックに入れたままのほうが良いのです。また、卵は温度差の変化が激しい場所は避けないといけません。温度差によって殻が結露してしまい、雑菌の繁殖が始まってしまいます。冷蔵庫の卵専用ケースはドアに付いていることが多く、開閉のたびに温度が変わりやすいのでオススメできないのです。

Q4. 卵は洗わなくていいの?

 卵は洗ってはいけません! 前述したように卵の殻には無数の小さな「気孔」があって、呼吸をしています。そしてその気孔は、微生物などが入らないように「クチクラ」という防御膜で覆われていています。

 卵を洗ってしまうとこの層が取り除かれてしまい、微生物が侵入しやすくなるのです。卵は出荷前にこうした膜を取り除かない専用の機械で洗浄しているので洗う必要はありませんが、どうしても洗いたいと言う人は、使う分だけを料理の直前に洗い、使い切るのが良いでしょう。

Q5. 卵の賞味期限内に食べ切らなくてはダメ?

左が冷凍庫に入れて解凍した卵。黄身がピンポン玉のようになっています
左が冷凍庫に入れて解凍した卵。黄身がピンポン玉のようになっています

 卵の賞味期限というのは、冷蔵保存で安心して生食ができる期間を表示しています。日付を超えても食べられますし、火を通す料理であれば、なおさら、賞味期限を超えても使うことができます。また、卵は冷蔵だけでなく、冷凍保存もできます。当然、冷蔵保存より長持ちします。

 一度冷凍し、解凍してから卵を割ると黄身はまんまるでピンポン玉のようになり、白身はもとの状態に戻ります。黄身の食感が硬めになりますが、味や栄養価は変わりませんので、賞味期限で食べきれなさそうと思ったら冷凍するのも1つの方法です。

Q6. 平飼いや放し飼いの鶏の卵のほうが美味しい?

卵かけご飯は美味しい卵を最も美味しく味わえる料理法
卵かけご飯は美味しい卵を最も美味しく味わえる料理法

 採卵鶏の飼い方には、鶏舎内のカゴで買う「ケージ飼い」と屋外の地面で買う「平飼い」や「放し飼い」があります。

 自然な飼い方だから、鶏にストレスがかからず、栄養価が高くて美味しい卵を産む──というイメージが広まっていますが、実は、「ケージ飼い」の卵と栄養価が変わるというデータはありませんし、また美味しいとも限りません。飼料や鶏の糞などの衛生管理など様々な条件が揃って卵の美味しさに繋がりますので、自分の目、鼻、舌で感じて美味しい卵を買うことが大事になります。その大きなポイントとして、

1. 殻に汚れなどが付着していないこと
2. 黄身や白身がプリンと盛り上がって新鮮なこと
3. 卵の臭みがないこと

 そして、卵の味に関してですが、卵かけごはんなどで、生の卵を食べた時の旨みやコクなどは大事な基準にはなりますが、卵はその他にも焼いたり蒸したり、いろいろな料理法があるので、最終的に料理として食べた時に美味しいと感じるかどうかが大事。色々食べ比べてみて、自分好みの卵を見つけてみてください。

(撮影・文◎土原亜子)

●DATA

田中農場 外観

店名:田中農場

住:埼玉県深谷市本田1448
TEL:048-583-5683
営:9:00~17:00(お問合せ8:00~17:00)
休:不定休
http://tanakafarm-brand.com