東京から1時間で行ける酒場天国・八王子で寄りたい「ノスタルジック酒場」3選

変わらぬ味を守り続ける老舗焼鳥店『広小路』

脂を落としながら焼く「やみつきホルモン」。大きさと鮮度にこだわり、「卸してくれる業者を見つけるのに4年かかった」と大ママ
脂を落としながら焼く「やみつきホルモン」。大きさと鮮度にこだわり、「卸してくれる業者を見つけるのに4年かかった」と大ママ

 東京駅からオレンジ色の中央線に揺られること約1時間で八王子到着。開発が進む駅前の喧騒を過ぎると、低層木造建築が立ち並ぶ横丁が現れます。かつて花街として栄えた色気の残り香漂う路地裏、こんがらがった電線の下をそぞろ歩けば、気分は平成を飛び越え昭和へ。

常連客がカウンターで談笑中。いやぁ、楽しそうです
常連客がカウンターで談笑中。いやぁ、楽しそうです

 そんな独特の辺境感を色濃く残すのが、駅北口から西へ5分ほど歩いた酒場密集地帯。目指すは八王子最古参の焼き鳥居酒屋、創業57年の『広小路』です。黒光りする建具に歴史を感じる店内ではドリンク担当のマスターを挟み、向かって左の厨房に大ママ、右の焼き場に娘さんのなおママが立つのがおなじみの光景です。

レバー、カシラ、ねぎまなどお酒が進む焼鳥が多数。特に旨みが切り口から流れ出ないよう、鶏一羽分を丸ごと使うレバーは、とろりとした口あたりで最高
レバー、カシラ、ねぎまなどお酒が進む焼鳥が多数。特に旨みが切り口から流れ出ないよう、鶏一羽分を丸ごと使うレバーは、とろりとした口あたりで最高

 こちら、常連客で構成するサポーターの会があるほど長年のファンが多い店なのですが、一見客にもフレンドリーなのもうれしいところ。「この辺も様変わりしたね。今残っている店はうちくらい」。10代の頃から店を切り盛りするマスターが、懐かしそうにそう語ります。

手前は「やみつきホルモン」、左が「だし巻たまご」。これに合わせて飲みたいのが、「マスターのジンライム」
手前は「やみつきホルモン」、左が「だし巻たまご」。これに合わせて飲みたいのが、「マスターのジンライム」

 名物「やみつきホルモン」は、ぷりぷりの巨大ホルモン串。下ごしらえのため二度脂を抜いてもなおこの大きさを保つホルモンに、57年継ぎ足してきたタレを絡め香ばしく焼き上げた逸品です「最初にふらっと入ったら、居心地がよくて。気付けば毎週通ってます」とは常連客の弁。変わらぬ味と雰囲気が人々を癒す、八王子の“第二の我が家”がここにあります。

●SHOP INFO

広小路

住:東京都八王子市中町10-13 中町広小路