常連客に永く愛され続ける店とは、一体どんな店だろう? そんな事を考えて酒場を巡ってみるといつも客で賑わう店には、「絶対的な名物料理がある」「ひとり客が安心して通える」など、いくつかの共通項が見えてきた。
条件その七 客の表情がいい
カウンターの棚に並んだお猪口から好みを選んで、待つことしばし。店長の岩井博さんが一升瓶を持って来て、猪口に酒を注ぐと、さあ日本酒劇場の始まりである。
「この酒は蔵元自ら醸しています。米は愛山。それを50%まで磨いていまして……」。酒蔵のエピソードを交え、圧倒的な知識から繰り出される説明を受けながら味わう日本酒の何と旨いことか。そればかりか、カウンターの向こうで腕を振るうマスターとママによる手作り料理も絶品で、それらを酒で受け止める幸せはこの上ない。
日本酒は常時100種以上。リストはなく、ゲストは自分の酒量に見合うコースを選び、好みさえ伝えれば岩井さんが極上の酒をチョイスしてくれる。
つまり、料理さえ頼めば、後は身を任せるだけでいい。それで極上の日本酒を味わえるのだから、頬が緩むのも無理はない。
日本酒の名店ながら今時の洒落た店とは違う。アットホームな雰囲気もまたゲストが心を解きほぐす所以でもある。
●SHOP INFO
店名:酒縁川島
住:東京都品川区小山4-10-4-102
TEL:03-3785-8806
営:19:00~22:30(要予約)
休:不定休
予算/4,000円~ 個室/なし カード/不可