愛される酒場の条件【1】酒肴 タキギヤ

酒肴 タキギヤ
上/常連を大切にするが「“常連感”はなるべく出さないように」と小林さん。「初めての方が居にくいと悪いじゃないですか」左下/「鰯の梅煮」700円、右下/「コハダの酢〆」600円 | 食楽web

常連客に永く愛され続ける店とは、一体どんな店だろう? そんな事を考えて酒場を巡ってみるといつも客で賑わう店には、「絶対的な名物料理がある」「ひとり客が安心して通える」など、いくつかの共通項が見えてきた。

条件その一
常連客を大切にする

扱う酒は純米酒のみ。店主・小林充人さん曰く「つまりは添加物のない酒」。肴は「そうした酒の旨みを膨らませるため」にあり、「鰯の梅煮」や「南瓜の煮付」、「鮎の風干」など、酒好きが思わず頬を緩める一品ばかりを揃える。

ここは現代人の心に響く「古典居酒屋」。食材は魚河岸や八百屋から「いろいろ注文し」国産を仕入れ、醤油や酢、味醂といった調味料も古来より伝わる製法を無添加で貫く醸造元の謹製品。季節の定番を毎日、手を抜かず作っている。

「あとは主人の適当なトークが売り(笑)」。実を貫きつつ、それをおくびにも出さない小林さんと話していると、なぜかこちらまで愉快になってくる。これこそが常連に愛される理由。

主人と客との、この距離感はマニュアル化されたサービスでは絶対に生まれず、自然と、人が醸す酒、人が育てる食材、そして、料理に感謝の念が沸いてくる。感謝しながらも、こちらはただ店に通い、酒を飲むだけ。これほど痛快な社会貢献はない。

●SHOP INFO

酒肴 タキギヤ

店名:酒肴 タキギヤ

住:東京都新宿区荒木町7 安藤ビル1F
TEL:03-3351-1776
営:17:00~23:30LO 土17:00~22:30LO
休:日・祝休み
予算/4,500円 個室/なし カード/可