油のプロが教える! 料理をより美味しくする正しい油の選び方&使い方

Q3.揚げ物に合う油はどれ?

揚げ物に合う油はどれ?

 汎用油はどれも揚げ物に合うオイルですが、前述したように、あっさり軽めに仕上げるならキャノーラ油(菜種油)やべに花油、コクやほのかな風味をつけるなら、米油、綿実油、コーン油などという具合に、使い分けるのが理想です。

 ちなみに、実はオリーブオイルもカラッと軽く揚がるタイプの油ですが、揚げ物調理の際には、エキストラバージンオリーブオイルと精製オリーブオイルをブレンドしたピュアタイプなど、マイルドな風味のオリーブオイルがお薦めです。食べたときにふわっとオリーブの風味が香る、爽やかな仕上がりになります。また、天ぷらを揚げる際には、キャノーラ油など一般的な汎用油にごま油を適量加えると、香りとコクが出て、お店で食べるような天ぷらに仕上がります。

Q4.揚げ油に使った油は、何回くらい使える?

揚げ油に使った油は、何回くらい使える?

 揚げ油の種類や揚げ種・温度・時間などによって異なるため、一概には言えませんが、回数を重ねれば油は“疲れて”きます。3~4回が目安と覚えておくといいでしょう。ちなみ「油が疲れた」というのは、油の酸化が進んだ状態のこと。その油でさらに揚げ物を続けると、料理が美味しくなくなるだけではなく、健康にもよくありません。

 そこで大切なのは、必要以上の高温で揚げ物をしたり、揚げカスをそのままにしておいたりしないこと。これらは油の疲れを早めてしまいます。油を汚しにくい料理から順に使い、“さし油”をしながら使うのがコツです。

 ちなみに、油を汚しにくい順に並べると、(1)素揚げ(野菜)⇒(2)天ぷら (野菜⇒魚介の順) ⇒(3)フライやカツ、コロッケ⇒(4)鶏のから揚げなど下味をつけたものという感じになります。

 なお、揚げものに使ったあとは、冷めないうちに油をろ過し、冷めてから専用容器に入れて蓋を閉め、冷暗所で保管してください。

 ついでに油が疲れた状態を見分けるポイントもご紹介しましょう。酸化が進むと、明らかに油の見た目、香りが変わります。「疲れた油」を見分けるポイントは次の5つ。チェックしてみてください。

(1)いやな臭いがする
(2)色が濃くなる
(3)加熱時に泡がいつまでも消えにくい ※「カニ泡」と言います
(4)粘りが出ている
(5)180度くらいの温度(天ぷらなどをする一般的温度)で煙が出る

 なお、疲れた油は、何をしても元の新鮮な油には戻らないので、使わないようにましょう。

Q5.油はどうやって保管すればいい?

油はどうやって保管すればいい?

 皆さんは油をどこに保管していますか? 料理のたびに使用するので、コンロ周りの棚や、または出しっぱなしという人もいるのではないでしょうか。しかし、油はなま物です。置き場所によっては、品質が落ちて、引いては油の寿命を縮めてしまうことにもなりかねません。油が劣化(酸化)する原因となるのは「光、高温、空気、水分、金属」です。そこで次のポイントに配慮した場所に保管してください。

 冷蔵庫に保管する必要はありませんが、基本的には直射日光や蛍光灯の光を避けた冷暗所に置きましょう。湿度の高い場所や高温になる炎天下は当然NG。それと、開栓したら使うたびにキャップを閉めて空気に触れさせないことも大事です。

Q6.もっと料理を美味しくする油の使い方は?

もっと料理を美味しくする油の使い方は?

 例えば「炒飯」。通常、フライパンに油を入れて炒め、仕上げに「ごま油」で風味を加える──というのは皆さんもよく行う調理方法だと思います。しかし、パラパラでふっくらした理想的なチャーハンを作るのは至難の技。そこで、ひと工夫。炊飯器でご飯を炊く際に、調味料(塩・胡椒・酒など)とごま油を入れて炊くと、ごま油がご飯粒を包み込みます。このご飯を使って具材と合わせて炒めるだけで、パラパラ&ふっくらした理想的なチャーハンができます。

 もう一つ、料理の風味をアップするテクニックとしては、油に食材やスパイスの香りを移して使う「テンパリング」があります。代表的なのが、ペペロンチーノ。最初にフライパンにオリーブオイルを敷いた後、ニンニクや唐辛子を入れてその香りをオイルに移します。香りの成分は油に移りやすいので、料理の風味を豊にしてくれるわけです。テンパリングは、カレーや中華など、ジャンルを問わず使えます。ぐっと料理が美味しくなりますので、ぜひ試してみてください。

(取材・文◎土原亜子)