噂の上陸系ハンバーガー店「UMAMI BURGER」に潜入【シェフと食べ歩き 後編】

かじった時にすべてを味わえる一体感

【シェフと食べ歩き】噂の上陸系ハンバーガー店「UMAMI BURGER」に潜入【後編】

原さんが指差しているのがブレイズショートリブ

 そうして原さんが選んだのは、ロワイヤル・バーガーのミディアムレア。サイドメニューにトリュフ・フライ、ドリンクはIPAをセレクト。
「このバーガーに入っているブレイズショートリブというのは、ショートリブを煮込んだ柔らかなビーフのことです。アメリカではこうした肉×肉のバーガーが流行っています。これも生野菜が入っていないので、ある意味、理想的なスタイルですね」

 バーガーに生野菜を入れない=理想的なスタイルになる、とはどういうことだろう?

「日本のバーガースタイルは、レタスやトマトが入っているのが基本になっていますが、生野菜が入ることで人によって食べ方が変わるし、見ていてバラバラになってしまっていることがあります。でも、肉とパンだけだと、かじりにいったときに全部が一緒に口に入り、一体化した状態で食べてもらえる。それは作る側の思いがお客さんに伝わりやすいということなんです」

 なるほど、ハンバーガー店オーナーならではの視点に目からウロコが落ちる。

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ロワイヤル・バーガー1780円。バンズに挟まっているのは、トリュフアイオリ、ハウストリュフチーズ、トリュフグレイズ、ブレイズドショートリブ、ビーフパティ。

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トリュフフライ800円。カリッと揚げた細目のポテトフライに、トリュフチーズ。

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 というわけで、いざ実食。

「バンズに何かを付けて焼いるのでサクサクしていて、確かにパン自体に旨味を感じます。分厚いビーフパティですがミディアムレアでとてもジューシーですし、煮込まれた甘いリブの柔らかさが、カリッとしたバンズに挟まれ、口に入った時に想像通りの一体感がありました。シンプルな具材で勝負しているからこそ、食材や製法にこだわっているんですね。パンにソースをつけて焼いたり、うま味を出す為に野菜はローストしたりなどの工夫が見え、〈うまみ〉の表現がよく伝わりました」

 しかしながら、原さんはこうした工夫をすでに自店でも試している。

「アメリカでは、バーベキューコンロにビーフを入れて丸一日熱を入れ、水をかけながらゆっくり焼くという製法があって、引っ張っるとちぎれるくらいになるので、それをハンバーガーに使っていると聞きました。僕の場合は、月替わりメニューで〈ケバブバーガー〉というのを出したことがあるんですが、これも噛みちぎ切りやすいケバブを作り、そこにチキンのパティを合わせ、肉×肉を試してみたんです。
 チキンをローストすると凸凹するので、ひき肉のパティにして一体感を特に重視しました。最近は、肉自体に色々なスパイスを入れたり、ソースで遊んだりした〈ローストナッツハニーマスタードバーガー〉というのも出したりしているんですよ」