噂の上陸系ハンバーガー店「UMAMI BURGER」に潜入【シェフと食べ歩き 後編】

理想のバーガー屋を目指して

 さて、原さんに上陸系バーガー2店を食べ歩いてもらった感想を聞くと、「勇気が湧いてきました」という面白い答えが返ってきた。

「これまでの日本のバーガー屋さんは、マクドナルドのようなチェーン系バーガーと、僕らのような日本独自のグルメバーガーの両極端になっていました。先程言ったように、日本オリジナルバーガー系は、レタスやトマトの生野菜が入っているのがスタンダードで、見た目(立ち姿)も大切にします。だから、僕が店を出すときに、肉とパンだけのバーガーに割り切る勇気はなかったんです」

 特に原さんは、あの日本のグルメバーガーを牽引した「ブラザーズ」(人形町)の出身であり、人気を博した美しい立ち姿のバーガーを熟知している人だ。だからこそ、そのベースを守りつつ、自分なりに研究して、「かじりにいった時に全部が味わえる」ように、量を調節した。それが原さんが作る基本のバーガーだ。

【シェフと食べ歩き】噂の上陸系ハンバーガー店「UMAMI BURGER」に潜入【後編】

原さんが作るエッグチーズバーガー1300円

 一方で、月替わりでいろいろ試しているのは、日本におけるバーガー文化の変化を感じるからだという。

「欧米では毎日のようにハンバーガーを食べています。それは日本のおにぎりのようなもので、僕らは、食材にこだわってシンプルな塩むすびを旨いと思ったり、好きな具材をおにぎりにしますよね。同様に、欧米人は、食材にこだわった肉とパンだけのバーガーを旨いと思ったり、様々な具材を挟んで日常的に楽しんでします。
 日本のグルメバーガー第1次ブームの20年前と比べると、私たち日本人もハンバーガーを食べる機会が格段に増え、欧米スタイルに近づいている。特に今回、海外上陸系の2店舗をめぐって、具材を自由に選んだり、シンプルなスタイルで勝負したり、こういう様々な選択肢もアリだなと思いました。だから、ますます、バーガー作りに勇気を持って取り組めそうです」

 そして最後に、どうしても聞きたかったこと。それは今のバーガー・ブームに対しての思いである。

「ブームはチャンスでもあります。ただ、僕は、バーガーの理想系を追い求めているだけではなく、長く愛されるバーガー屋がいいなと思っているので、瞬間的なブームで終わらない店を作りたい。それは、スタイリッシュさやマニュアルではなく、個性的かつアットホームな店であること。そして進化を続けることが大切だと思っているんです」

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●SHOP INFO

店名:BURGER & MILKSHAKE CRANE

住:東京都千代田区外神田6-16-3
TEL:03-6808-0026
営:11:00~22:00(21:30L.O)
休:なし