旨い店はタクシー運転手に訊け! 日本の食遺産に認定したい町中華『飛鳥』の最強チャーハンとは?

唯一無二の「チャーハン」と「ワンタン麺」は必食

「ラーメン」(430円)
「ラーメン」(430円)

 例えば「ラーメン」の濃い醤油色のスープは、最初の一口目からジワリと旨味が染み渡ります。塩味の塩梅もちょうどいい。そして、その感動が、最後の一滴まで続きます。これは、本当にすごいことです。通常なら、スープに麺が浸かっていると、後半、味が変化し、ダレることが多いものですが、『飛鳥』のスープは、最後の最後まで美味しい。これは多くの店が真似できない職人芸だと思います。

「チャーハン」550円。私は、このチャーハンにラーメンのスープを浸して食べたりします
「チャーハン」550円。私は、このチャーハンにラーメンのスープを浸して食べたりします

 そしてラーメン以外にもぜひ食べていただきたいのが「チャーハン」と「ワンタン麺」です。「チャーハン」は、まるで炊きたてのご飯のようにふっくらとした食感で、しかもお米ひと粒ずつに味が満遍なく行き届いています。そのご飯にしっとり馴染むチャーシュー、卵、ナルト、ネギといった具材。全体的に油感も塩味も、そして食感も、行きすぎず、足りなすぎず、1ミリたりとも文句をつけようがありません。満点の味!

「ワンタン麺」500円
「ワンタン麺」500円

「ワンタン麺」は、たっぷりとスープに浮かんだワンタンには具がぎっしり詰まっており、皮はツルンとした食感。麺のツルツル感とも相性抜群。もはやワンタン専門店かと思うくらい旨い。さらにラーメン同様、チャーシュー、ホウレンソウ、ナルト、メンマも入っていて、これでワンコインなんて。もう丼のすべてが愛おしく思えてくるのです。

カウンター上のいかにも町中華なメニュー表。ラーメンも何もかも安い!
カウンター上のいかにも町中華なメニュー表。ラーメンも何もかも安い!

 その他にもたくさんメニューがあります。全部を制覇してはいませんが、おそらく何もかも美味しいことが想像できます。なぜなら、こんな辺鄙な場所にあるのに、昼時はいつも満席。しかも車でわざわざ来る人もいるんです。

 そんな方々の注文する内容も様々で、あれもこれもそれも、全部美味しそうなんですよ。そして高齢のご主人と女将さんだけでのんびりやっている感じなのに、阿吽の呼吸でお客を待たせることもない。そんなところにも昔の職人気質を感じカッコいいんです。こうして私は、『飛鳥』にいる間中、美味しさのあまり、つい笑顔がこぼれ、幸せな気分で店を後にするのです。

ちなみに、私は麺類のサイドメニューに「餃子」(400円)もよく注文します。パリッと香ばしい底面と、上面は蒸し焼き。具は野菜多めで、お肉の脂とともに野菜の甘さがジュワッっと口に広がります
ちなみに、私は麺類のサイドメニューに「餃子」(400円)もよく注文します。パリッと香ばしい底面と、上面は蒸し焼き。具は野菜多めで、お肉の脂とともに野菜の甘さがジュワッっと口に広がります

 実は、『飛鳥』さんは、今年5月に閉店するという噂もあったんです。しかし、先日伺うと、6月1日からランチ営業のみを続けているとのことでした。まだまだ続けて欲しい! 私にとって、もはや日本の食遺産とも言える味。ぜひ後世までその味を継承して行って欲しいと願います。

(撮影・文◎土原亜子)

●SHOP INFO

飛鳥 店内

店名:飛鳥

住:東京都板橋区徳丸1-33-11
TEL:03-3550-6686
営:11:00~15:00
休:木・第2・4水

●プロフィール

荒川治

東京都内在住のタクシー運転手。B級グルメ好きが高じて、現職に就き、お客さんを乗車させつつ、美味い店探しで車を回している。中年になってメタボ率300%だが、「死神に肩をたたかれても、美味いものを喰らって笑顔で死んでやる」が信条。写真検索で美味しそうなモノを選び、食べに行って気に入ればとことん通い倒す。でもじつは、自分で料理を作ることも好きで、かなりの腕と評判。