美肌のためには高級美容液より“食事と栄養”が大事な理由とは? 皮膚科医・柴 亜伊子先生が解説

気になる乾燥肌、「お肉と油」の摂取に原因があるのかも?

皮膚科医・柴亜伊子さん。2010年5月京都市四条にクリニックを開業。オーソモレキュラー療法という栄養療法を取り入れ、スキンケアとともに食事や栄養に力を入れた治療を行っている。著書は『きれいな肌をつくるなら赤いお肉を食べなさい』(青春出版社)
皮膚科医・柴 亜伊子さん。2010年5月京都市四条にクリニックを開業。オーソモレキュラー療法という栄養療法を取り入れ、スキンケアとともに食事や栄養に力を入れた治療を行っている。著書は『きれいな肌をつくるなら赤いお肉を食べなさい』(青春出版社)

編集部:急激な季節や気温の変化に悩まされる日々ですが、先生のクリニックでも乾燥など肌の乱れについての相談が増えていますか?

柴先生:夏は湿度も高く汗をかくのでツヤがあるかのようにごまかされていたけれど、秋から湿度が下がって乾燥が進むことでお肌のツヤ・ハリの無さが顕になっちゃうんです。季節の変わり目で多少は仕方がないのかもしれませんが、一気に肌の調子が変わったというなら、お肉と油が足りていないのかもしれないですね。

編集部:お肉と油ですか?

「オージービーフ」
「オージー・ビーフ」

柴先生:乾燥肌の女の人は、コレステロール値がすごく低い人が多いんです。コレステロール=悪というイメージがありますが、それは間違い。もちろん、高すぎるのはだめですけど低すぎるのも良くない、バランスが大切なんですよね。日本の痩せている女性は結構な割合で低コレステロールなんです。

編集部:そうなんですね。やはり、お肉を食べた方がいいんですか?

柴先生:そうですね。牛肉は美肌に必要な動物性たんぱく質やビタミン・ミネラルがバランスよく入っていて、足りないのはビタミンCと食物繊維くらい。霜降り肉ではなく、オージー・ビーフのような赤身肉(モモ肉)を選ぶといいですよ。

意識的に野菜と摂るという人は多いけれど……
意識的に野菜と摂るという人は多いけれど……

柴先生:美肌のために高い美容液などを塗っても、サプリメントを摂っても、肌を支えるコラーゲンはタンパク質とヘム鉄とビタミンCでできているので、口からそれらを補う必要があります。皆さんビタミンCには意識があるけど、タンパク質とヘム鉄が無かったらビタミンCだけ摂ってもコラーゲンは作られないんです。

編集部:タンパク質などが不足すると、たるみの原因になると聞いたことが……。

柴先生:国民健康・栄養調査報告によると、日本女性の平均摂取カロリーは戦後の1946年よりも少ないんです。カロリーが足りないとせっかく摂ったタンパク質はエネルギー源として燃やされてなくなります。タンパク質とヘム鉄が不足していると、コラーゲンが作れず肌を支えられない。重力で負けちゃう。最近、20代の方でほうれい線が目立つ人が増えているのもそのせいかもしれませんね。

コレステロールやカロリーを気にしすぎて、必要な栄養が十分に摂れていないかも
コレステロールやカロリーを気にしすぎて、必要な栄養が十分に摂れていない人も多い

柴先生:日本人、特に女性は脂質の摂取を気にしすぎていて、カロリーが足りていない方も多いんです。皮下脂肪からも女性ホルモンを出してくれるのに。

編集部:コラーゲンペプチドはたるみに効果がありますか?

柴先生:ある大学のデータによると、コラーゲンプチペドの摂取で差が効果が出たのは50歳以上の方。それ未満の年齢では有意差がなかったんです。女性は閉経したら崖から転がるように老化が進むと学会でも言われていますが、それだけ食事の量も減り、十分なタンパク質が摂れていないからコラーゲンぺプチドで差が出たのでしょう。

柴先生の著書『きれいな肌をつくるなら赤いお肉を食べなさい』では、1回の食事で手のひら2枚分(約200g)のタンパク質を摂ることを推奨
柴先生の著書『きれいな肌をつくるなら赤いお肉を食べなさい』では、1回の食事で手のひら2枚分(約200g)のタンパク質を摂ることを推奨

編集部:確かに、年齢を重ねるごとに食が細くなる人が多いですよね。

柴先生:せっかく閉経して月経による鉄などの損失がなくなったのに、口から栄養を摂取して補充しないと今までの月経で減った鉄などの不足はどん底のままで勝手には増えません。だから更年期以降で元気な方と、そうではない方との差がはっきり出てきてしまうんです。

編集部:元気な人って、お肉をたくさん食べているイメージ!

柴先生:高齢でもお肉が食べられるということは、お肉が消化ができる消化酵素がしっかりと作れていて、消化吸収できる胃腸を持っているという証拠なんですね。