【2023年食べて良かったもの】食ライター4人が選んだ2023年の“忘れられない絶品グルメ”7選

ようやく味わえた絶品メンチカツ! 『スワチカ』(五反田)の「スワチカランチ」

 友達の友達で、存在は知っているけど話したことはない。でも妙に気になってつい目で追ってしまう……。そんな魅力的でちょっとミステリアスな同級生、いませんでした?

 五反田の定食屋『スワチカ』は、まさにそんな感じの存在でした。遠い昔、「メンチカツがおいしい」と先輩から聞いて、食べてみたいとは思っていたのに、なぜか行く機会がないまま幾年月が経過。しかし2023年の年末に、とうとう訪問する機会が訪れました。そのメンチカツの味わいは、期待を裏切らない、というかここ数年で食べたメンチカツの中で一番おいしかった!

「スワチカランチ」980円
「スワチカランチ」980円

 注文したのは看板メニューの「スワチカランチ」。白いお皿にキャベツの千切りとご飯がこんもり。そこに大きな黄金色のメンチカツがどーんと鎮座したワンプレートランチです(これまたおいしい豚汁と漬物付き)。

 箸でつまみあげてガブリとひと口。サクサクの衣を前歯が突破した瞬間、ジューシーなメンチの旨さが怒涛のごとく口中になだれ込んできます。玉ねぎの甘味とひき肉の旨み、そしていつまでも舌先に残るまろやかなやさしい余韻。「あぁ、なぜもっと早く来なかったのだろう、自分は馬鹿だ」と激しく後悔するレベルの絶品。今年、もっとも心に残った一品でした。

お店の外観
お店の外観

 お店は古いけど、清潔感があって雰囲気も◎。未訪の方はぜひ!(智美)

いつも寄ってしまう箱根老舗の味『はつ花』の「とろろせいろそば」

「せいろそば」1300円
「せいろそば」1300円

 皆さんにはたまに訪れる旅先でどうしても食べたくなるグルメ、ありませんか? 何度通っても同じ味、同じ風情、やけに落ち着く故郷のような場所。筆者にとってのそれは、箱根にある昭和9年創業の老舗蕎麦処『はつ花 本店』です。

 箱根湯本駅から歩いて行ける場所にあり、いつでもお店の前は行列。素朴な店内は陰影がある昭和な造り。窓からは箱根の自然を感じ、座っているだけでぼーっと邪念が取り払われていくよう。はつ花の蕎麦は「自然薯蕎麦」という水を一切使わず、蕎麦粉と地卵、自然薯だけで打っています。この蕎麦だけでも風味がいい。そこにふわふわとした自然薯のとろろを絡めていただく。この濃厚なとろろの旨味にまた、脱帽する。食べるたびに、「ああ、おいしいおいしい」とため息をついてしまうのです。

「山菜」400円。ビールとつまみで蕎麦を待つ時間がいい
「山菜」400円。ビールとつまみで蕎麦を待つ時間がいい

 この蕎麦が出てくるまでの時間もいいんです。チャキチャキ娘のような店員のおばさま達の段取りの良さ、威勢の良さが心地よく、ビールに山菜などをつまみながら待つ。蕎麦はそんなに待たずに出てきますが、天ぷらなどを楽しんでもいい(これもまた旨し!)。

『はつ花』外観。いつも大行列! でも思ったより早く案内されますよ
『はつ花』外観。いつも大行列! でも思ったより早く案内されますよ

 旅の途中で、または締めにこちらに赴くと、「ああ、箱根に来たな」としみじみ思うのです。(まみくま)