日本酒のプロに訊く! 2024年の正月&三が日に飲みたい「厳選日本酒」5選

食中酒として優秀なにごり酒「純米吟醸 にごり酒 ハツユキ」【金升酒造】

「純米吟醸 にごり酒 ハツユキ」アルコール度数16%、精米歩合55% 1杯550円、720ml 2200円
「純米吟醸 にごり酒 ハツユキ」アルコール度数16%、精米歩合55% 1杯550円、720ml 2200円

 今回ご紹介する中で唯一のにごり酒が、新潟県『金升酒造』の「純米吟醸 にごり酒 ハツユキ」。名前の通り、初雪をイメージしたお酒で、12月ごろに発売される冬限定の日本酒です。

 にごり酒には粒感のあるタイプと、サラサラしたタイプがありますが、こちらはキメ細かいにごりが特徴。舌触りがシルキーで、喉越しも抜群です。

 舌が“ピロッ”とする少しガス感のあるシュワっとした味で、甘さはにごりにしては控えめ。キレがあって食事にも合わせやすい日本酒なので、にごりが苦手な人でも飲めるハズ。

「にごり酒の中でも多彩な料理に合うのが特徴なので、正月料理にはどれもピタリとハマると思います。あえて挙げるならキンカンですかね(笑)。正直どの料理にも寄り添う日本酒です」(今さん)

縁起も味も抜群の大吟醸「龍勢 黒ラベル 辰年EDITION 純米大吟醸」

「龍勢 黒ラベル 辰年EDITION 純米大吟醸」アルコール度数17%、精米歩合50% 1杯750円、720ml 3465円
「龍勢 黒ラベル 辰年EDITION 純米大吟醸」アルコール度数17%、精米歩合50% 1杯750円、720ml 3465円

 最後に紹介する日本酒は、高級感漂うパッケージが印象的な広島県『藤井酒造』の「龍勢」です。2024年の干支である“辰(龍)”が名前に入っているので「龍勢」は年末年始の商品に気合いを入れている、と今さん。

 普段は「黒ラベル」と呼ばれる純米大吟醸の、辰年限定エディションがこちらです。中身の仕様もラベルもやや違う仕様。ラベルは、地元・竹原出身のアーティスト 舞書家Chad.氏による描き下ろし。龍の生き生きとした力強い息吹が感じられるデザインです。

「龍勢」の高級な純米大吟醸に多いメロンのような香りと、「龍勢」ブランドの代名詞でもある生酛造り(きもとづくり)(※)のヨーグルトを思わせる乳酸菌系の香りが合わさった、果実味あふれる味わい。生酛は重くなりがちなイメージがありますが、こちらはとても軽快です。

「他の生酛(きもと)と違って、冷やしても美味しいタイプの日本酒です。もちろん『龍勢』ブランド全体に言えますが、ぬる燗にしても美味しいです。温度によって色々な顔を見せるタイプの日本酒なので、合わせられる料理も幅広く、おせちなど味の濃いものにも負けない味です。お雑煮と合わせても美味しいと思いますね」(今さん)

(※)生酛造り(きもとづくり)……酒母を仕込む際、乳酸を添加せず天然の乳酸菌から乳酸を得る昔ながらの製法のこと。お米の旨みを最大限に引き出し、深みのある濃酵な味わい、コクを感じられるのが特徴。

2024年の日本酒シーンはどうなる?

最後に2024年の日本酒シーンはどうなるのか、展望を今さんに伺いました。

「長いコロナ禍を経て、消費者の日本酒の飲み方に変化が起きたように思います。昔は、飲み会というと2~3軒のハシゴが当たり前でしたが、最近は1軒目で終わることが多く、日本酒が選ばれにくくなっているのです。飲み会需要は戻って来たものの、日本酒に関してはコロナ禍以前ほどはまだ回復していないのが現状です。

 ただ、これは悪いことばかりではありません。1軒目しか行かないからこそ、良いお酒(一杯)にこだわって飲みたいという人も増加。例えば、自分の好きなお酒を探した結果、日本酒のファンになったという若者も増えているんです。良い意味で、日本酒業界の新陳代謝も進んでいて、世界的な需要も巻き込みつつ、良い方向に進んで行っていると思いますよ」(今さん)

まとめ

 というわけで、2024年の三が日にコタツに入って、ダラダラ飲みたい日本酒をご紹介してきましたが、「これだ!」と思える一本が見つかったでしょうか? 今回ご紹介した日本酒も含め、『名酒センター』では、全国から集めた銘酒の試飲・販売はもちろん、通販(※一部商品を覗く)も行っています。特別な日に、普段とはひと味違う一杯が飲みたい人はぜひチェックしてみてください。

●SHOP INFO

店名:名酒センター 御茶ノ水店

住:東京都文京区湯島1-2-12 ライオンズプラザお茶の水1F
TEL:03-5207-2420
営:12:00~20:30、土曜、祝日12:00~22:00(フード、ドリンク閉店30分前LO)
休:月曜(他不定休あり)
https://nihonshu.com/