日本酒のプロに訊く! 2024年の正月&三が日に飲みたい「厳選日本酒」5選

純米大吟醸「【九尾】 純米大吟醸 槽搾り無濾過生原酒 二割四分磨 一富士二鷹三茄子」【天鷹酒造】

「九尾 純米大吟醸 槽搾り無濾過生原酒 二割四分磨 一富士二鷹三茄子」アルコール度数16%、精米歩合24% 1杯500円、720ml 2420円(※価格は全て税込)
「【九尾】 純米大吟醸 槽搾り無濾過生原酒 二割四分磨 一富士二鷹三茄子」アルコール度数16%、精米歩合24% 1杯500円、720ml 2420円(※価格は全て税込)

 最初に紹介するのは、『天鷹酒造』の「【九尾】」のお正月限定商品です。“一富士二鷹三茄子”という、初夢の縁起物をそのまま商品名にした日本酒「【九尾】 純米大吟醸 槽搾り無濾過生原酒 二割四分磨 一富士二鷹三茄子」です。

 正月向けに限定で仕込んでいるプレミアムな日本酒で、通年の「【九尾】」に近い華やかで重くない香りに、爽やかでジューシーな甘みと酸味のバランスのよさが特徴。スルスル飲めてしまうやつです。生酒なので、冷蔵庫で冷やして飲むのがおすすめ。

 一富士二鷹……の「富士」にかけてお米が“フジ=24%精米(二割四部磨き)”という、遊び心が入っているのも面白いポイントです。また、自社栽培のお米「栃木県産 あさひの夢」で造られているので、価格も4合瓶で2420円と比較的リーズナブルなのも嬉しいところ。

「食べ合わせとしては、温かい料理が合いますが、お酒自体が美味しいので、単品で味わうのがベスト。あまりおつまみはいらないかもしれません。あえて挙げるなら、お正月料理の鯛の刺し身や塩焼きなど、淡白な白身魚との相性が良いと思います」(今さん)

日本一の超軟水で仕込む生酒「瀧澤 特醸 しぼりたて限定生酒」【信州銘醸】

「瀧澤 特醸 しぼりたて限定生酒」アルコール度数17%、精米歩合59% 1杯300円、720ml 1190円
「瀧澤 特醸 しぼりたて限定生酒」アルコール度数17%、精米歩合59% 1杯300円、720ml 1190円

 こちらは、毎冬に登場する新酒の「特醸しぼりたて限定生酒」です。長野県『信州銘醸』の「瀧澤」という人気のブランドの冬限定バージョンです。新酒らしい、メロンのような若々しく瑞々しい香りと、本醸造の生酒らしい“とろり”とした舌触りが特徴です。アルコール度数が高めなので、ガツンとした喉越しが楽しめます。これを飲むと「冬が来たな!」と思えるお酒です。

 日本一といわれる超軟水(※)の「黒曜の水」を使い仕込まれている『瀧澤』は、荒々しさと柔らかその両方を兼ね備えた日本酒です。720mlで1190円(税込)とコスパも良いので、あまり難しいこと考えずにお風呂上がりなどにキュッと飲むのに最高の日本酒です。

「生酒で、搾りたての荒々しさがあるので、キンキンに冷やして、ギルティな感じで、コタツに入りながらヌクヌクとその温度差を楽しんでもらいたい日本酒です。お酒の荒々しさがあるので、食中酒としても向いています。味の濃い料理、アツアツの寄せ鍋などとの相性が良いです」(今さん)

※軟水には、酵母の餌となるミネラル分が少ない。なので発酵がとても緩やかになり、口当たりや飲み口が柔らかい味になるとされている

懐が深く飲み方が多彩な純米酒「金鳳 純米酒 」【金鳳酒造】

「純米酒 金鳳」アルコール度数15%、精米歩合60% 1杯300円、720ml 1320円、1800ml 2640円
「金鳳 純米酒」アルコール度数15%、精米歩合60% 1杯300円、720ml 1320円、1800ml 2640円

 島根県『金鳳酒造』の「金鳳 純米酒」。1年を通して販売されている商品ですが、今回あえて正月向けとして紹介します。その理由としては、家庭のテーブルに出てくる正月料理のほぼすべてに合う懐の深い味わいがあるから。

 そのままでも美味しく、冷から55度の熱燗まで幅広く対応できるので、テーブルに置いておいて、三が日ダラダラ飲むのにぴったりです。

 味わいの特徴は、穏やかで、甘酸っぱいプラムやあんず系のキュンとする香り。なめらかで柔らかく、甘みと酸味のバランスが秀逸。コクや旨みもあり、クドさもないのも特徴です。

「冷蔵庫の温度だとキリッと、熱燗ではほっこり柔らかい味わいになる日本酒です。どの温度でどの料理と合わせるかは、飲み手の好みで多種多様な選択肢があると思います。大人数でテーブルを囲んだ時に一本あると、色々な飲み方ができるので、重宝する日本酒ですよ」(今さん)