【山梨・峡東】豊かな果樹の恵みを料理家・真藤舞衣子さんと味わう1dayトリップ!

日当たりが良く水はけのよい扇状地がブドウ栽培の決め手!
『Cave an』(山梨市)

「峡東の地形がわかりやすいところへ行ってみましょうか」と中村さんが連れていってくれたのは、万力山の裾野に広がるなだらかな傾斜をもつブドウ畑。ワイン用ブドウを栽培、ワインを醸造している『Cave an』でした。

「わ、こちらは丸藤葡萄酒(甲州市)にいらした安蔵正子さんのワイナリーですよね。ワイン好きの間で今とっても注目されているんですよ」とマイマイ。料理家としてのアンテナは日本ワインにも感度高く張りめぐらされているようです。

ワイン用ブドウが垣根栽培されている『Cave an(カーヴ・アン)』の圃場
ワイン用ブドウが垣根栽培されている『Cave an(カーヴ・アン)』の圃場

「峡東は笛吹川を筆頭に、金川、御手洗川など大小多くの川に沿って、山裾から肥沃な土砂が堆積した扇状地がいくつもあるんです。この扇状地は傾斜や起伏が大きく、水田には向かないんですが、水はけがよくて果樹栽培には最適だというわけですね」と中村さんが語れば、「山梨はブドウの栽培面積、生産量ともに日本一ですからね。日本固有の品種である甲州をはじめ、いろいろ品種があって楽しいですよね」と受けるマイマイ。息もぴったり合ってきた模様です。

「Cave an」Wine Growerの安蔵正子さん(左)
「Cave an」Wine Growerの安蔵正子さん(左)

 と、そこに『Cave an』の安蔵(あんぞう)正子さんが登場。南に大きく開けた傾斜を活用している圃場で、収穫前のブドウ畑を見せてくれました。

「ここ山梨市万力の畑は、南向き斜面で、水はけ・日当たりが良く果樹栽培に向いています。だからと言ってカベルネやメルローなどの品種がこの土地に合っているかと言うとなかなか難しい。“適地適作”という言葉があるように、この土地にはこの土地に向いている品種があるんですよね。今はプティ・マンサンという白品種とタナという赤品種にとても可能性を感じています。」(安蔵さん)

 傾斜のある圃場は太陽光を豊富に得られるため有利ですが、作業はなかなかハードそうだな……と見ていたら、「昔、峡東地域には『八幡の嫁泣かせ』という言葉があったんですよ」と中村さんが教えてくれました。そのココロは、東南に大きく開けて朝日が早く当たることからほかの地域の嫁さんより早起きをしなければならない、ということだそう。ジェンダーフリーの現代ではちょっと疑問を呈したくなる言葉ですが、それだけ気象条件に恵まれた土地だということなのでしょう。

『Cave an』のワインは「勝鬨酒販」や「横浜君嶋屋」などの酒販店で手に入る
『Cave an』のワインは「勝鬨酒販」や「横浜君嶋屋」などの酒販店で手に入る

 2020年末に山梨市はワイン特区として認可され、その制度を活用して免許を取得した「Cave an」で、現在栽培しているのはプティ・マンサン、アルバリーニョ、甲州、タナ、プティ・ヴェルドなど。今リリースされている白と醸しワインは、食中酒として楽しめるようフレッシュな酸が際立って印象的なワインでした。さあ、今夜のディナーのお供はどれにしましょう?