日本酒ラベルで何がわかる?|今さら聞けない日本酒【第1回】

今さら聞けない日本酒
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 日本酒、楽しんでますか? 米と水で醸されることは知っているけれど、実際、それがどのように作られ、日本酒となっていくのか、知らない人も多いのでは? 麹、酵母、醪、発酵……。確かに難しそうに思える日本酒用語。けれど、その基礎を知っておくだけで、日本酒はもっと身近に、もっと楽しく、美味しいものになることは間違いありません!

 日本酒だけに限った話ではないが、物には顔がある。レコードであればジャケットであり、雑誌であれば表紙がそれにあたるだろう。日本酒の顔は、もちろんラベルだ。日本酒ラベルにはいくつか種類があり、多くの場合、ドンと商品名が記されているのがいわゆる表ラベル。“胴貼り”とも言われている。

 それに対し、日本酒のディテールが記されているのが裏ラベル(裏貼り)で、まさにその酒のプロフィールといっていえるものだ。その日本酒がどんな酒質か、蔵元がどんな思いを込めて醸した酒か。ラベルを読み解くことで、その酒のタイプを想像することができる。

 ただし、日本酒の味わいや香りは、使う酒米や酵母、日本酒度やアミノ酸度、造りなど、さまざまな要素が絡み合って決まるもの。いざ抜栓して日本酒を口にすると、「想像と全く違う!」なんていうことも少なくない。日本酒ラベルを知ることで、日本酒を飲む悦びは一段と大きくなるはずだ。


今さら聞けない日本酒
裏ラベルは情報の宝庫。さまざまな情報が読み解ける

ラベルから読み解く日本酒

●表ラベル
銘柄や商品名を大きく認めた、まさに日本酒の顔。そのデザインは実にさまざまで、蔵元ごとの個性が光る。近年はラベルから受けるイメージの概念を取り払うため、あえてラベルを貼らない日本酒も。レコードのようにラベルのデザインで選ぶ“ジャケ買いも一興だ。

●肩ラベル
多くの場合、表ラベルの上部、酒瓶が注ぎ口へ向けてすぼまった部分に斜めに張られていることが多い。特定名称や酒米や酵母の種類、酒母造りや上槽、火入れ、貯蔵の違いなど、その日本酒の大きな特徴が記されていることが多い。

●裏ラベル
裏ラベルはまさに日本酒のプロフィール。その日本酒の特徴づけるさまざまな情報を読み解くことができる。ディテールだけでなく、酒造りにおける蔵元の想いやコンセプトが綴られていることもある。

●特定名称
本醸造酒、吟醸酒、純米酒、純米大吟醸酒など、8種に分類される特定名称が記されている。

●原材料名
酒造りに使われる米や米麹などが表記される。米にこだわる日本酒ではその産地や品種なども。本醸造酒や吟醸酒などでは醸造アルコールも明記。

●精米歩合
お米を精米した割合を%で表示。60%と書かれていれば、表面を40%削った酒米が使われているという意味。

●アルコール分
アルコール度数。一般的に日本酒のアルコール度数は15~16度ほどだが、加水していない原酒になれば20度ほどまで上がる。アルコール度数が十数度の低アルコール酒もある。

●酵母
酒母造りで添加する酵母の種類を明記。使う酵母によって日本酒の味わい、香りはまったく異なるものになる。蔵付き酵母を使用する酒蔵もある。

●酸度
旨みや酸味のもととなるリンゴ酸、乳酸などの酸の量を数値化。

●アミノ酸度
日本酒に含まれるおよそ20種のアミノ酸の量を、1.0を基準値に表記。数値が高ければ濃醇、低ければスッキリとした味わいの日本酒に。

●日本酒度
水に対しての日本酒の比重を計測。0を基準とし、+と-の数値で表示。+に傾くほど一般的にいうところのいわゆる辛口、-に傾くほど甘口の日本酒になるといわれる。

●保存方法
特に、生酒などの火入れしていない酒には“要冷蔵”などと保存の仕方を特記。

(取材・文◎大西健俊)

●プロフィール

監修/栗原信利

東京農業大学農学部醸造学科卒業後、兵庫県の酒蔵で蔵人として働き、町田市に本店を持つ「さかや栗原」の店主に。全国小売酒販青年協議会会長、International SAKE Challenge日本人審査員も務める。町田駅近くに新店舗を準備中。