コース内容が全部とんかつ!?『tonkatsu.jp表参道』で「とんかつフルコース」を堪能してきた

コースが始まる前に、この日いただく銘柄豚の生肉を見せてくれる!

「めぐり豚」のコースがサーブされる前に、この日の調理前の生の銘柄豚を見せてくれます
「めぐり豚」のコースがサーブされる前に、この日の調理前の生の銘柄豚を見せてくれます

 冒頭で触れた通り『tonkatsu.jp 表参道』はすごくオシャレな店舗設計ですが、これは眞杉大介さんの奥さまがこだわりぬいて設計したものだそうです。さっそく「めぐり豚」をオーダーすると、まず最初に「本日いただける」銘柄豚の生肉をシェフが説明・見せてくれる仕込みです。

 高級寿司のお任せコースにも似たこの振る舞いに少々気構える筆者でしたが、この日にいただく銘柄豚およびお口直しなどは下記のものでした。

・めぐり豚1巡目……岩中豚(上ロース・ヒレ)
・めぐり豚2巡目……LYB豚(上ロース・ヒレ)
・お口直し……トマトのジュレ・無添加野菜とたくわん
・めぐり豚3巡目……伊豆の太湖豚(上ロース・ヒレ)
・ごはん……かつ丼・味噌汁
・めぐり豚4巡目……TOKYO X(ロース・ヒレ)
・デザート……アイス

 それぞれを順次いただきつつ、試食しレビューしていきたいと思います!

銘柄豚・超希少豚を全てとんかつで食べ比べる「めぐり豚」コース!

岩中豚の上ロース(左)とヒレ(右)
岩中豚の上ロース(左)とヒレ(右)

めぐり豚1巡目……岩中豚(上ロース・ヒレ)

 まず最初にサーブされたのは岩中豚の上ロース。岩手県産の豚肉で、口に入れた瞬間、脂身のコクと肉の甘味が広がり、日常的に食べるとんかつとは明らかな違いを感じました。意外とサッパリしており、1巡目としては最適のように思いました。対する、岩中豚のヒレのほうも、赤身の濃厚な味を楽しめつつクセはいっさいありません。こちらも奥深い味わいでした。

LYB豚の上ロース(左)とヒレ(右)
LYB豚の上ロース(左)とヒレ(右)

めぐり豚2巡目……LYB豚(上ロース・ヒレ)

 次にいただいたのが希少豚のLYB豚で、読み方は「ルイビぶた」。ルイビ○ンとは大人の事情で読むことができません。静岡県にある富士農場による銘柄豚です。1巡目でいただいた岩中豚とはまた違う風合いですが、まず上ロースは肉がとにかく柔らかく、こちらもまた品の良い味。ヒレのほうは上ロースよりも旨みが肉に凝縮されたような印象で、これもまたコク深い味わい。筆者は頼みませんでしたが、酒類とのペアリングも良さそうな豚だと思います。

トマトのジュレ(左)、無添加野菜とたくあん(右)
トマトのジュレ(左)、無添加野菜とたくあん(右)

お口直し……トマトのジュレ・無添加野菜とたくあん

 ここまで4種のとんかつを食べ比べたわけですが、口の中の脂をきるためのお口直し。トマトのジュレは、トマトの酸味がスキッとさせてくれる一方、青臭さなどはありません。しっかり口の中の油感をリフレッシュさせてくれました。また、無添加野菜とたくあんは、「tonkatsu.jp 表参道」が選りすぐった名店によるものだそう。素材を生かした繊細な味で、こちらもまた口の中をスッキリとさせてくれます。

伊豆の太湖豚の上ロース(左)とヒレ(右)
伊豆の太湖豚の上ロース(左)とヒレ(右)

めぐり豚3巡目……伊豆の太湖豚(上ロース・ヒレ)

 気を持ち直して3巡目。3巡目は伊豆の太湖豚という銘柄の上ロースとヒレをいただきます。天城黒豚に梅山豚を2回掛け合わせた、伊豆の太湖豚はもはや、養豚家の方の趣味の域と言っても過言ではありません。上ロースはまず脂身の繊細な味が特徴的で、コクがあるのにくどくなく、その甘味はまさに絶品! ヒレのほうもまた旨みがしっかりある一方、実に軽い口当たりで、これもまた美味。こういった希少性が高く、よそでは食べられない豚をいただけるのも『tonkatsu.jp 表参道』ならではと思いました。

ソースかつ丼と味噌汁
ソースかつ丼と味噌汁

ごはん……ソースかつ丼・味噌汁

 ここまでいただき、お米が欲しくなった筆者はかつ丼と味噌汁をお願いしました。このごはんものは、どのタイミングでオーダーしても良いらしく、かつ丼ではなく普通の白いご飯でも良いようです。

 筆者がいただいたかつ丼はこの日最初にいただいた岩中豚の上ロースをタレ・柚子胡椒につけていただくもの。最初にいただいたものに比べ、タレ・柚子胡椒をつけたことで味わいがアップし、ご飯にバッチリ合います。また、味噌汁は揚げ物にピッタリの赤味噌ベースのもので、こちらもまた油感を癒してくれるような優しい味でした。

TOKYO Xのロース(左)とヒレ(右)
TOKYO Xのロース(左)とヒレ(右)

めぐり豚4巡目……TOKYO X(ロース・ヒレ)

 さて、本来の「めぐり豚」コースはここまでで、あとはデザートとなりますが、オプション(0000円)を足すことでめぐり豚4巡目もいただくことができるとのこと。もちろん筆者もこのオプションを頼みました。

 まずはTOKYO Xのロース。美味しい肉質の豚を掛け合わせた銘柄豚で、特別な食通以外にもその名はよく知られたもの。ほのかな甘味に加え、コク深い肉の旨みが詰まったものでした。ここまでいただいた「めぐり豚」のラストを飾るに相応しい、余韻を感じさせる味でした。

カシスのアイス
カシスのアイス

デザート……カシスのアイス

 最後にデザートとしてカシスのアイスをいただきました。濃厚でスキッとしたカシスの酸味が「めぐり豚」の終わりを告げてくれるような印象を抱きました。いやはやお腹いっぱいです。ご馳走さまでした!

銘柄豚ごとの特性を生かした、シェフによる繊細な調理にも注目!

各銘柄豚の特性を最大限活かした調理も◎
各銘柄豚の特性を最大限活かした調理も◎

 ここまでとんかつを食べ続けたのは生まれて初めてでしたが、想像以上にペロッといけてしまうもので、それも『tonkatsu.jp 表参道』が厳選した銘柄豚ばかりであることに加え、シェフの卓越した調理技術によるところが大きいと思います。同じ1枚の切り身でも脂分が多い箇所、赤身が多い箇所で、微妙に火入れを調整するといった繊細な調理をしているようで、この技術もまた、各銘柄豚の旨みを存分に引き上げているのだろうと思いました。

「生産者と消費者をつなげる店に」という思いで開店!

オシャレな店内で、全国の銘柄豚を「めぐりながら」いただいてみませんか?
オシャレな店内で、全国の銘柄豚を「めぐりながら」いただいてみませんか?

 最後に『tonkatsu.jp 表参道』をプロデュースした眞杉大介さんに話を聞きました。

「私はとんかつが好きで、年間200食くらい食べ歩いてきました。多いときは1日に5食とんかつを食べることがありました。こういったなか、美味しい銘柄を見つけた場合はメモをしておき、後に様々な養豚場さんを巡り生産者の方の思いをうかがうようにもなりました。普段食べるだけだと、どんな思いで生産されているかなどはわからないですよね。でも、こういった経験を重ねるうちに、それぞれの銘柄に対して、より大切に、より美味しくいただくようにしたいと思うようになりました。

 そういった思いを反映させてオープンしたのが『tonkatsu.jp 表参道』です。生産者の方と一般消費者の方をおつなぎできるような場にできたら良いなと考えておりましたが、開店以来すでに銘柄豚のマニアの方が多くご来店くださっています。他方、『一般的なとんかつ店には入りにくい』と考える女性のお客さまもご来店くださり、『新たにとんかつのファンとなっていただけることが非常に嬉しいです。仕入れによって、その都度、銘柄豚のラインナップは異なりますが、ぜひお気軽にご来店いただければと思います」(眞杉大介さん)

『tonkatsu.jp 表参道』の「めぐり豚」はかなりマニアックなコースだと思う一方、実際にいただいてみると、実に貴重な取り組みのようにも思いました。とんかつ好きの方、豚マニアの方はもちろん、「食べることが好き」な多くの方に体験していただきたいコースだと思いました。

(撮影・文◎松田義人)

●SHOP INFO

店名:tonkatsu.jp 表参道

住:東京都港区北青山3-9-9 FNビル1F
TEL:03-6427-4910
営:平日11:30~15:00(L.O.)、17:00~20:30(L.O.19:30)、休前日~20:00(L.O.)、土日祝11:30~20:30(L.O.20:00)、平日前日19:30(L.O.)
※まん延防止等重点措置に伴い、1/21以降の営業時間はラストオーダー19:30、閉店20:00
休:月曜
https://tonkatsu.jp/