こんにちは。羊齧協会主席の菊池一弘です。
突然ですが、みなさん、羊肉には何種類の部位があるかご存知でしょうか? 答えは16種類。外ももはばき、ベビーラム、ロース、カルビ、ハツ、レバー、しびれ、タン…などなど。恥ずかしながら、最近まで筆者は知りませんでした。この16の部位をすべて味わえる羊愛にあふれたお店が、今年(2019年)4月に新宿三丁目に誕生した『ラム焼肉専門店 lamb ne(らむね)』です。
私が知る限り「ラム肉焼肉」と看板を掲げているお店は、こちらが日本初だと思われます。羊肉の新しいジャンルの誕生です。ドアを開けた瞬間に広がるシックな店内は、店を間違えたかな、と躊躇するほど落ち着いています。カウンターもテーブル席も、会食やデートにも使えそうな非常によい雰囲気です。
16種類の中から様々な部位をいただきましたが、特に印象的だったのは羊肉のカルビ(冒頭の写真)です。何がスゴいかというと、肉の新鮮さと下処理の確かさです。
羊肉が苦手な人は、「羊肉は臭い」とよく言います。この匂いは、主に劣化した脂肪が原因。これを抑えるため、脂分が多い部位は羊肉の香りを抑えるためにトリミング(肉の一部を削り取ること)したり、切れ目を入れて脂を抜いたりするのですが、脂肪分を除きすぎてしまうと、逆に羊肉の美味しさを半減させることにもつながります。
しかし、こちらのカルビは、きちんとした厚みのある脂の旨みを十分堪能できました。これは、よほど肉に自信がないとできないことです。
また、カルビ以外では、イチボも秀逸。お尻の部分の肉です。これがまた旨い。きめ細かい赤身と、脂のバランスが絶妙で、適度な噛み応えがたまらない部位です。イチボには、生肉の状態で軽くタレで下味がついているのですが、焼いた後、さらにタレにつけていただくのです。この二度漬け方式によって、タレの味も肉の味もしっかりと感じられる仕掛けです。
いずれにしても、肉自体が非常に美味しい。風味豊かなのにあっさりとしていて、するすると食べられてしまいます。この理由についてお店のスタッフさんに聞いたところ、オーストラリアの食肉加工会社大手、トップカット社の日本法人「テンダープラスジャパン社」と提携して供給を行っており、肉の品質にはかなりの自信があるとのこと。さもありなん、という感じです。
肉はもちろんのこと、ちょっと加えるだけで味の深みが増すスパイスにも抜かりはありません。クミンをベースに、うまみがしっかり感じられる唐辛子や花椒などが加えられたスパイスで、もはやこれだけで食べてもいいレベルで旨いんです。小売りされていれば家に常備したいほど。食べ方としては、そのまま肉に付けてもいいし、付けタレに足しても最高です。
『ラム焼肉専門店 lamb ne』、期待の新星の誕生です。最近の羊肉を扱うお店のバラエティの広がりに私もワクワクしながら、羊をめぐる冒険が続きます。
●SHOP INFO
店名:ラム焼肉専門店 lamb ne(らむね)
住:東京都新宿区新宿3-28-15 TRN新宿ビル 4F
TEL:03-6273-1033
営:ランチ(土・日) 11:30~15:30
ディナー 17:00~24:00
休:無休
座席数:46席
http://www.opefac.com/store/lambne/index.html
●プロフィール
菊池一弘
羊齧協会主席。羊肉を常食する岩手県遠野市出身の父の影響で、羊肉料理に親しんで育つ。北京留学中に現地の味に触れ、その魅力に開眼し羊好きの消費 者団体「羊齧協会」を結成。本業は、イベントの開催・運営、場作りのプロとしてのアドバイザー業務などに携わっている。最近は四川フェスの運営団体麻辣連盟の幹事長も兼務。
http://hitujikajiri.com/