「ワセカツ」って知ってる? 早稲田生まれの“元祖かつ丼”の復刻版が激ウマ!

古くて新しいカツ丼が誕生!

最新テクと手仕事が織り成すカツ丼だった!

 この「ワセカツ」を考案したのはなんとIT系のプロデュースのお仕事をする福井県出身の森武彦さん。子どもの頃からカツ丼といえば、ソースカツ丼のことだったという生粋のソースカツ丼原理主義者です。

「もともと和文化を世界に発信していきたいという思いがあったんです。その中で、自分のソウルフードである福井のカツ丼が、日本のカツ丼のルーツであることを知り、さらにドイツからの文化を吸収した“和洋折衷”だと知った時に、これこそが和文化の大きな特徴の1つであると思ったんです」

 そこで、福井のカツ丼を、発祥の地・早稲田に復活させ、そこから世界に発信していきたいと『奏す庵』を自らオープンしたのだそう。

「ワセカツは福井のカツ丼とは少し違い“うすとあつ”という2種類が入っているのが特徴なんですが、ソースの味も試行錯誤したオリジナルです。ザラメだけの甘さだと胃もたれするので、フルーツなど様々な甘味を研究して、さっぱりした後味のウスターソースを作っています」

薄いカツに、エスプーマ仕立ての「辛子ソース」をかけて味変するのも楽しい
薄いカツに、エスプーマ仕立ての「辛子ソース」をかけて味変するのも楽しい

 また、油で揚げているはずのカツ自体があっさりしているのも嬉しい特徴。
「うちでは特殊な油の装置を使っていて、油に電流を流すことで水と油が弾くように作っています。それによって不要な油がカツ自体に残らないので、くどくないんです。女性でもペロリと平らげられるのは、しつこさがないからだと思います」

 ただ単にカツ丼元祖の味を再現したというわけではなく、研究し尽くされた新しい「ワセカツ丼」だったのです。

「とはいえ、味噌汁の味噌、梅干し、そしてお米などすべて福井から取り寄せて使っています。地元の手作りの味は、私にとって懐かしさがありますが、それだけでなく世界に通用する美味しさがあると思います」

最初に出される福井の昔ながらの酸っぱい梅ぼし
最初に出される福井の昔ながらの酸っぱい梅ぼし

 確かに、「ワセカツ」の美味しさは、丼の中だけにあらず。食欲をそそるための特別酸っぱい梅干し1粒に始まり、出汁を使用せずとも旨みの濃い味噌汁、味変のためのエスプーマ仕立て辛子ソースなど、お盆の上に様々な工夫があります。そして、古くて新しい「ワセカツ丼」を食べていると、“和食”ってすごいなあ、と改めて感動してしまうのでした。ぜひみなさんも“元祖カツ丼”を体験してみてください。

(取材・文◎土原亜子)

●SHOP INFO

奏す庵

店名:奏す庵

住:東京都新宿区早稲田鶴巻町555-19 鶴屋ビル1F
TEL:03-6302-1648
営:11:00~15:00
  17:00~22:00(LO)
休:水
http://www.sauce-un.jp/