「じゃりち」って知ってる? 錦糸町名物、謎の“パリパリ肉天”を初体験してきた!

「じゃりち」って知ってる? 錦糸町名物、謎の“パリパリ肉天”を初体験してきた!
「じゃりち」Sサイズ800円、Mサイズ1,250円 | 食楽web

未確認“揚げもの”物体「じゃりち」の正体は?

 その物体を見かけたのは、テレビのグルメ番組でした。思わず「何、あれ?」と、目が釘付けになりました。羽根のような衣がついた揚げものです。レポーターが“肉の天ぷら”“肉のから揚げ”と説明していましたが、名前のインパクトもすごくて、その名も「じゃりち」というそうです。今まで一度も聞いたことがない料理名です。

 調べてみると、中国料理に「炸裡背(ザーリーチー)」という豚バラ肉の天ぷらがあって、きっと、それが「じゃりち」になったのではないか? と想像しましたが、とにもかくにも、テレビで見た「じゃりち」は美味しそうで、どうしても食べたくなりました。

 そこで「じゃりち」を食べられる店を探すと、東京・錦糸町にある老舗中国料理店『栄福(えいふく)』しかありません。そこで某日、お昼どきに錦糸町へ向かいました。

創業64年の老舗中華料理店『栄福』
創業64年の老舗中華料理店『栄福』

『栄福』さんは、錦糸町から歩いて7分ほどの場所にありました。老舗店とはいえ、街の中華屋さんのような気取らない雰囲気です。

 入店すると、目に飛び込んできたのは、店内正面の壁にある“額”。「今日最高の新点心 栄福の美味(あじ) 韮溜湯麺(ひりゅうたんめん)」という文字が書かれています。これも知らない料理名です。メニューを見ると「栄福 特製そば」と書いてあり、こちらも名物のよう。ぜひ確認せねばと両方を注文しました。

 しかし周囲を見回すと、チャーハン、やきそば、餃子といった定番メニューを食べているお客さんがとても多いのです。しかも、ものすごく美味しそう!

 数分後、先に登場したのは「じゃりち」。実物を見ると、予想以上に大きくて手のひらサイズ。ヒラヒラとした形状の衣が付いている豚肉の揚げ物です。衣から噛むと、サクッ、カリッ、パリッというような音と共に、醤油とニンニクの風味が口に広がります。から揚げの衣とも天ぷらの衣とも異なり、薄煎(うすせん)のようにとても軽い衣です。食べ進むと真ん中あたりに豚肉が入っています。その部分はグニュッと柔らかい食感。じゅわっと肉の脂と旨みが口に広がります。これはあるようでない未体験の味です。

じゃりち1つひとつの大きさはマチマチですが、大体10cm大
じゃりち1つひとつの大きさはマチマチですが、大体10cm大

衣の香ばしさが後を引く

「小皿の塩と山椒を少しまぶしていただくと美味しいですよ」とお店の方に勧められるまま、振りかけてみます。たちまちピリッと山椒のシビれ感が加わり「じゃりち」の風味が変わりました。「カリッ、サクッ、グニュ、パリパリ」と食べ進んでいくと、衣の存在感の大きさに気づかされます。とにかく香ばしさ満点。「フムフム、この料理は衣を味わう料理なんだな。ならばビールは必須だな」と確信。

 そこで、昼どきですが「ビール」を追加! “グビグビ”が加わると、もう“パリパリじゃりち“が止まりません。「きっと、じゃりちを発明した人は無類のビール好きだったんだな」とわかったところで、「韮溜湯麺」が登場しました。

「韮溜湯麺」910円。ニラは1束以上使っているそう
「韮溜湯麺」910円。ニラは1束以上使っているそう

ニラの大群に遭遇!

 まず、すごい量です! ニラニラ、ニラニラ。もはや“ニラの海”です。こんなニラの量を1人前の丼に入れていいのでしょうか?

 しかもトロリとしたスープも、なみなみと入っています。まずは透き通ったスープを一口いただくと、熱々のとろりとした餡で閉じられた中に具材がいっぱい。絶妙な塩味であっさりしており、とても優しい味です。

 箸ですくうと、まずニラが捕まり、その次もニラが絡まり、そのうちプルンプルンのキクラゲやぷりぷりの豚肉、シャッキリとした筍なども捕まります。そしてその下に、たんまりと麺が入っていました。これもまた「1人前か?」と思うほどたっぷりの量。しかし、とてもさっぱりしているのでスルスルと食べられて、箸が止まりません。こんなに大量のニラが入っているのに、臭みもまったくなく、あっさりと完食できました。