まずは地元の人気そば屋で越前そばを食べてみる
早朝に東京を発って、福井に着いたのはお昼前。到着するやいなや、福井在住の知人に、福井市北部にある蕎麦屋『その字』に案内されました。福井産の在来品種の粉を使ったこだわりの蕎麦が味わえる地元の人気店です。
オーダーしたのはもちろん越前そば。蕎麦は太めで、がっしりしたタイプ。まずは箸で数本つまんでそのままいただくと…蕎麦の香りが口から鼻に抜けて、実に旨し! 越前そばの場合、玄そばを挽いて使うため、特に香りが強いんだそう。実際、東京の蕎麦屋の主人の言葉通り、蕎麦自体の味わいに奥行きがあって複雑です。
食感も、東京の老舗で出すようなつるつるっとした蕎麦とはまるで違います。想像以上に噛みごたえがあり、噛めば噛むほど味わい深いお蕎麦です。
つゆに蕎麦を浸してすすっていたら、「違う違う、蕎麦の上に大根おろし、ネギ、鰹節をのせて、上から蕎麦つゆをドバッとかけて食べるんですよ」と知人から教育的指導が入りました。なんとも豪快ですね。言われたとおりにドバドバとつゆを蕎麦にかけます。
いざご当地流の食べ方を実践してみたところ…びっくりするほど美味しさが増しました! 蕎麦の旨みに大根おろしのスッキリとした辛味と鰹節・ネギの香味が加わって、旨みが波のように押し寄せてきます。
夢中ですすって完食。江戸前蕎麦と違ってボリュームも噛む回数も多いせいか、けっこう満腹感もあります。いやー、美味しかった! 濃くて滋味深い蕎麦湯をズズズとすすりつつ、初めて食べた越前そばの味わいの感動にしばし浸ります。しかしこれで終わりじゃありません。その足で製粉工場に行くことになりました。