レモンを知り尽くした生産者の声
瀬戸内しまなみ海道のほぼ中央に位置する生口島。島内最大の町である瀬戸田町はレモンの出荷量が日本一で、その高品質なレモンは瀬戸田レモンとして知られています。なかでも「皮までおいしい」と、全国の名だたるレストランやバーから厚い支持を集めているのが、菅秀和さんの農園「citrusfarms たてみち屋」のレモンです。
菅さんのレモンをかじってみると、誰もが驚きます。レモン特有の強い酸っぱさはあるものの、それが心地よく、不思議と食べられる。ほのかな甘味も感じられて、フルーツとしておいしいのです。
「レモンは完熟すると糖度が10~11度にも達するほど、実は甘い果物。でも、酸味が強いので、そういうイメージはないかもしれません。多くのレモンは酸味と甘味はケンカしていて、苦味やえぐみも強いので、そのままかじるとキツく感じます。しかし、えぐみがなく苦味がほどよく抑えられていると、その苦味が酸味と甘味をうまくまとめてくれて、味わいをまろやかにしてくれるのです」(菅さん)
菅さんのレモンは、そのおいしさをまるごと味わいたいという食のプロから引く手あまた。料理の添え物ではなく、レモンを素材として味わうメニューや、フレッシュカクテル、お菓子などに活用され、全国のレモン好きに愛されています。
自らレモンサワー作りのワークショップも開催し、レモンのお酒には一家言ある菅さん。「-196℃〈ザ・まるごとレモン〉」を飲んでみると……。
「アルコール感が立つのかと思ったけど、これは飲みやすいね! レモンの風味がピュアに感じられます。その風味に果汁だけでは出ないコクがあるところがいい。これは皮ごと使ってはじめて出るコクなんだけど、うまくやらないと皮のえぐみが立ってしまうから難しいんですよ。きっと瞬間凍結する製法のおかげなんでしょうね、えぐみがほぼ感じられないし、糖類ゼロ、人工甘味料ゼロということもあって、レモン本来のうまみも感じられます。おいしいですよ」(菅さん)
レモンを使ったアルコール飲料のキモは、「いかに、いわゆる本物の果実感を出すか」にあると菅さん。果汁だけでは酸味が勝ってしまってコクがなく、それを補うために糖類を足してしまいがち。一方、皮も使ってコクを出そうとすると、今度は苦味やえぐみが前に来てしまい、キツい味になってしまうのです。
「レモンはまるごと使ってこそ果実感が出るもの。でも、プロでもなかなかレモンは使いこなせない難しい食材なんですよ。その点、こうしてレモンをまるごと使うというアプローチから逃げず、ここまでしっかり味わえる製品に仕上げているのはすごいですよ」
缶をプシュッと開けてすぐに飲めるのも魅力ですが、菅さんはぜひグラスに注いで楽しんでほしいと話します。
「せっかくの味ですから、グラスに氷も浮かべて、大切にじっくり味わってほしいです。生のレモンで“追いレモン”をして、さらにフレッシュな香りを加えたらより楽しめそうです」(菅さん)