お酒をつぐ器、お酒を飲む器。酒器に思いを巡らせると、気になってくるのが、あの人のお気に入りやコレクション。あのお店のセレクションも見てみたくなる。酒器好きでお酒好きライターによる酒器折々、酒器こもごも。
誰かが愛用している酒器。お店で使われている酒器。なんの癖かは知らないが、酒器が気になってしかたない。あの人はどんな酒器を持っているのかな？ どこで手に入れたの？ 贈りもの？ もしや自作？ さては鑑定級のお宝？ ひとたび酒器を手にすれば、それを肴に飲んでいたってこと…ないですか？
【酒器も肴のうち】第１献は、肴になりそうな酒器が豊富に揃う『地の酒しん』の店主・新保さんにご登場いただいた。
男と女の酒器選び
「ガラスを選ぶのは女性が多いですね。透明感があってきれいとか、可愛いとか、見た目で選ぶ印象があります。男性は手に収まりがいいかどうか吟味する人もいれば、選ぶでもなくただ一番上にあったのを手に取る人も。あとは、とにかくでかいのがいいとか、デザイン重視とかいろいろです」
お店で冷酒を注文するとクリアガラスの一合徳利で供され、同時にゆうに60は超えるであろう酒器が入ったカゴが運ばれてくる。時折、器と器が肩寄せ合ってカラカラと音をさせながら「ぐい呑、お猪口はいらんかね～」と、なにやら江戸のもの売りの風情、というのは筆者の得意とする妄想。
選べる酒器は陶磁器とガラスが中心。お店オープンの際に揃えたもの、いただいたものや常客が置いていったものなど。寸法、形、色柄など多種多彩。さながら”酒器祭り開催中！”と言わんばかりで、目移り必至なのである。
