酒器は制服なのか私服なのか?【酒器も肴のうち】

酒器で日本酒の味が変わるとて

 通いつめた常連客ともなると決まったMy酒器があるそうだ。「予約があった時点でそれはカゴから外しておきます」。ほほお、予約席ならぬ予約酒器。常客には定席があり、定酒器がある。

「お酒が変わるたびに別な酒器に替える人もいます。日本酒は器の形状、材質によって味の印象が変わるので、お酒の味の違いを知りたいのであれば酒器を替えない方がいいですね。そのお酒が自分の口に合うかそうでもないかの判断基準になります」

 うーむ。学生の頃、制服より私服の学校に憧れていた筆者としては正直なところ、酒器固定制に面白みを感じない。たしかに自分の口に合って、美味しいと感じるお酒と出会いたい。だがしかし、洋服と一緒で、その日の気分で酒器もとっかえひっかえして楽しみたいんです!

酒器は制服なのか私服なのか【第1献】酒器も肴のうち

「酒器を愛でることも日本酒ならではの愉しみのひとつですから否定はしませんよ(笑)。憶測でしかないんですが、お酒を飲まない陶芸家さんが作ったのかなと思うような、飲みにくい形状の酒器もときどきあります。日本酒を楽しく、そしてできれば美味しく味わえる酒器を見つけてほしいですね。日本酒を提供する限り、そのお手伝いはしたいと思っています」と、新保さん。

 日本酒愛あればこその酒器愛。次回は、そんな新保さんが愛用する酒器を紹介します。

酒器は制服なのか私服なのか【第1献】酒器も肴のうち
東急池上線千鳥町駅近くにある日本酒と佳肴の店。カウンターとテーブル合わせて全17席。日本酒は小さな造り手のものから、定番、季節のもの、変態系まで常時30種ほどをオンリスト。その日の入荷やおすすめ情報はFacebook「地の酒しん」で公開中。

●SHOP INFO

『地の酒しん』

住:東京都大田区千鳥1-18-8 第3正和コーポ103
TEL:03-6410-2992
営:17:30~24:00 ※フード23:00(L.O.)、ドリンク23:30(L.O.)
休:日曜
https://zinosakeshin.jimdo.com

●著者プロフィール

取材・文/笹森ゆうみ

ライター。蕎麦が好きで蕎麦屋に通っているうちに日本酒に目覚め、同時にそば猪口と酒器の魅力にとりつかれる。お酒、茶道、着物、手仕事、現代アートなど、趣味と暮らしに特化したコンテンツを得意とする。