トレーナーに聞く筋肉メシ! みんな大好き「鶏のから揚げ」は筋肉の敵か味方か?

から揚げを味方につける方法とは?

 さて、から揚げの話に戻ります。から揚げの食材は鶏肉ですね。鶏肉は高タンパク質であり、糖質(炭水化物)はゼロです。ただ脂質の量は部位によって含有量が異なるので、下記をご参照ください。

 から揚げの多くは鶏モモ肉を使用し、さらに衣と油が加わりますね。すると、脂質、カロリーともに約1.5倍に増え、炭水化物も加わります。

ちなみに、から揚げ中くらいの大きさ3個(約100g)で、タンパク質量は一緒ですが、脂質24.48g、C:炭水化物3.66g、約300kcal
ちなみに、から揚げ中くらいの大きさ3個(約100g)で、タンパク質量は一緒ですが、脂質24.48g、C:炭水化物3.66g、約300kcal

 しかし、鶏のから揚げの「鶏肉」は確かに高タンパク質です。たとえ、脂質が1.5倍になっても、タンパク質を手っ取り早く取るには悪くない食材。筋肉にとって間違いなく敵ではないんです。

 例えばカボチャやレンコンなどの野菜の天ぷらならヘルシーと言って、たくさん食べるのは、ただただ脂質と糖質を増やし、タンパク質はほとんどないので、筋肉にとってはあまり良いとはいえないのです。

カボチャの天ぷらは100g(およそ3切れ)で、タンパク質3g、脂質12g、炭水化物24g、182kcal
カボチャの天ぷらは100g(およそ3切れ)で、タンパク質3g、脂質12g、炭水化物24g、182kcal

から揚げと一緒に食べると太りにくい食材

 ただ、いくらから揚げが筋肉にとっては悪くないとはいえ、脂質が多いので太りやすいのも事実。そこで、から揚げの脂質を少しでも体脂肪に変えない方法を伝授します。

 それは、ずばり、海藻やキノコを一緒に摂り、食後にコーヒーを飲むという方法です。

 まず、海藻には水溶性食物繊維である「イヌリン」が多く含まれています。これが脂肪の吸収を阻害してくれ、さらに体内で中性脂肪が過剰に作られるのを抑制してくれます。じつはイヌリンは脂肪だけでなく、糖質の吸収も抑えてくれるんですよ。海藻はカロリーも低いのでバッチリです。

 続いてキノコ。脂質をすばやくエネルギーに変えてくれる(脂質代謝)のはビタミンB2です。キノコにはこのビタミンB2が豊富に含まれているので、ピッタリなんです。キノコもカロリーゼロ。ちなみに糖質の代謝を促進するのはビタミンB1。これは、焼き海苔がいいので、「ごはんには焼き海苔」と覚えておくといいでしょう。

 最後にコーヒーです。コーヒー含まれるのはカフェインが有名ですが、それよりも多く含まれるのがクロロゲン酸です。クロロゲン酸は主に苦味と酸味の正体。

 食事で脂肪を摂取すると、体内から脂肪を分解して吸収しやすくする酵素が分泌されるのですが、その脂肪分解酵素をクロロゲン酸は阻害する働きがあるんです。つまり、脂肪をカラダに吸収されるのを抑制するということ。

 またカフェインは、脂肪分解を担う「リパーゼ」を活性化させて、エネルギーに変えやすくします。つまり、コーヒーは、脂肪吸収を抑制してくれるうえ、脂肪をどんどんエネルギーに変えてくれるダブル効果があるんです。

 というわけで、脂質を体に蓄積しない食材を一緒に摂って、から揚げを楽しんでください。ただし、食べ過ぎは禁物。また、エネルギー変換しやすくするためにも運動は必須です。ダイエットには近道はないので、食べたらしっかりカラダも動かしてください。

(取材・文◎土原亜子)

●お話を聞いた方

宮本健太郎

宮本健太郎

『エベレストフィットネス』代表。日本体育大学卒 第一種高等学校教諭(保健体育)。全米ストレングス&コンディショニングスペシャリスト。NSCA認定パーソナルトレーナー。大学生時代よりプロボクシングでの競技生活をスタート。競技引退後は某有名ボクシングジムのチーフトレーナーとして後進の育成に従事し、2011年から2018年3月までこの職を勤めトレーナーとしてのスキルを磨く。今季夏より独立し、ボクシング&フィットネスのジム『エベレストフィットネス東高円寺』を経営。
https://everest-fitness.jp