現役トレーナーに聞く筋肉メシ!「糖質制限」って何それ? スイーツはカッコいい体作りの味方!

現役トレーナーに聞く筋肉メシ!「糖質制限」って何それ? スイーツはカッコいい体作りの味方!
食楽web

美味しいものが食べたい。でも体型のことも気になる。そんな人のために、トレーナーの宮本健太郎先生がレクチャーする「筋肉メシ」。第2回目は、筋肉を効率よくつけるための「糖質の賢い摂り方」です。

 近年、さまざまなメディアでよく耳にする「糖質制限」ダイエット。ごはんを抜いたり、ケーキや甘いものを食べないようにしてダイエットをしている人が多いです。

 すっかり悪いイメージがついてしまった糖質ですが、甘いものがやめられないという人もいるのではないでしょうか。糖質を制限して、たとえカッコいいカラダを手に入れたとしても、そんな生活を一生続けられますか?

「あれもダメ、これもダメ」。私はカラダ作りのプロですが、そんな生活は嫌です。ある程度、スマートでカッコよくいたいけど、美味しいものを食べる楽しみだって大切だと思います。

 また、トレーナーの立場からしても、糖質制限をすれば必ずしもカッコいいカラダになるとはいえません。もっと言うならば、糖質は決して悪者ではなく、摂る量や摂るタイミングさえ間違えなければ、カッコいいカラダを作る最高の味方になってくれるんです。

そもそも糖質とは?

糖質制限してご飯を食べない人もいるようですが…
糖質制限してご飯を食べない人もいるようですが…

 糖質を、ご飯やパン、甘いモノなどひとまとめに考えている人もいますが、正確には三大栄養素である「炭水化物、タンパク質、脂質」の炭水化物の一部です。炭水化物は、人が消化吸収できる「糖質」と消化できない「食物繊維」の2つから成り立っています。また糖質にも種類があり、単糖類、小糖類、多糖類があります。ちなみに単糖類は1つの糖から成るので、摂取したらいち早く血液に取り込まれます。

◯糖質の種類
・単糖類:1つの糖からなるもの(ブドウ糖、果糖、ガラクトース)
・小糖類:単糖が2~10個結合したもの(ショ糖、麦芽糖、乳糖、オリゴ糖)
・多糖類:単糖が多く結合したもの(デンプン、グリコーゲン、デキストリン)

 糖質の役割は、カラダを動かすエネルギー源でもあり、とくに脳や神経の活動にとって唯一のエネルギー源です。つまり糖質は悪ではなく必要不可欠な栄養。「糖質が太る」といわれる理由は、摂り過ぎが原因です。

糖質とインスリンの関係

 糖質を摂ると、体内ではインスリンが分泌されます。インスリンはエネルギーを蓄える方向に働くホルモンの一種。まるで優秀な「掃除機」のような存在です。血液中に取り込まれた糖をインスリンが吸い取るかのごとく瞬時にかき集めてきて、筋肉や脂肪組織に蓄え、生命活動や運動のエネルギーとして備えます。

 その糖がきっちりエネルギーとして使われればプラスマイナスゼロです。逆に十分に使われなければ、糖質は脂肪に変換されてしまいます。これが蓄積すれば脂肪が増え、いわゆる“摂り過ぎ”状態になるんです。

 また、糖質の中でも吸収が速い単糖類や小糖類(果物や砂糖が多く含まれるケーキやまんじゅうなどのスイーツ類)を多く摂ると、血糖値が急激に上がり、インスリンが素早く反応してガンガン吸い尽くすため、血液中の糖が急激に減り、だるくなったり、眠くなったりする低血糖の状態に陥るのです。

スイーツを食べる絶好のタイミング

 そんな糖質とインスリンの関係ですが、スイーツを食べるとカラダにとって良い方向に働く絶好のタイミングがあります。

「筋トレ後にプロテインを30分以内に摂れ」という言葉を聞いたことがある人は多いと思いますが、実は、糖質を摂るのもこのタイミングがベストなんです。

 筋トレをして傷ついた筋肉細胞を修復するのには、筋肉を構成するタンパク質が必要です。そのためトレーニング後、プロテインを摂ると良いわけですが、このとき、血液中に入ったタンパク質を筋肉細胞たちが集めに行きます。

 しかし、この集め方は、先ほどのインスリンがやっていたような優秀な掃除機の方法ではなく、のんびりとホウキで1つ1つのゴミを集める手作業のような感じです。筋トレ後、この作業をずっとやるわけではなく、ある程度のところで作業をやめてしまいます。つまりせっかくとったプロテインも取りこぼしてしまう可能性もあるわけです。

 ここでイメージしてみてください。このとき、インスリンのような優秀な掃除機があれば、すばやく集めることができます。使いたくなりませんか?

 そうなんです。このトレーニングの後こそ、スイーツを食べて、インスリンを分泌させるチャンス。優秀な掃除機によって血中のタンパク質を素早く吸収させることができるんです。

 しかも筋トレは筋肉細胞が傷つくだけでなく、蓄えていた糖質も使います。つまり、筋肉を完全に回復させるには、プロテインだけでなく糖質も必要なのです。

 というわけで、楽しいスイーツは筋トレ30分後がベスト。ちなみに筋トレといっても、何もマッチョなビルダーのように重いダンベルでやる必要はなく、スクワットやランジなど、自分の体重を利用したトレーニングでもOK。ぜひ楽しいスイーツタイムのためにもすこしずつ筋トレをやってみてください。(続く)

今回の筋トレ「シングルレッグデッドリフト」

 太ももの裏のハムストリングスを狙った筋トレです。この筋肉を鍛えることで、ヒップアップ、引き締まった美脚を目指すことができる上、あらゆる運動動作の安定感とレベルをUPすることができます。

1.立った状態から胸を張って、肩甲骨を寄せた感じにし、片足を後ろに下げます。この時、骨盤を前傾させるのですが、意識としてはお尻を突き出す感じです。重心は前脚に載せます。

2.前に出した脚を曲げながら上体をゆっくり下げていきます。前に出している側の太もも裏(ハムストリングス)やお尻の付け根の筋肉に効いていることを意識します。1の状態に戻ります。

1、2を繰り返して15回。これを3セット。終了したら反対側の脚を前に出して同様に行います。

(撮影・文◎土原亜子)

●お話を聞いた方

エベレストフィットネス 宮本健太郎

宮本健太郎

『エベレストフィットネス』代表。日本体育大学卒 第一種高等学校教諭(保健体育)。全米ストレングス&コンディショニングスペシャリスト。NSCA認定パーソナルトレーナー。大学生時代よりプロボクシングでの競技生活をスタート。競技引退後は某有名ボクシングジムのチーフトレーナーとして後進の育成に従事し、2011年から2018年3月までこの職を勤めトレーナーとしてのスキルを磨く。今季夏より独立し、ボクシング&フィットネスのジム『エベレストフィットネス東高円寺』を経営。
https://everest-fitness.jp