旨い店はタクシー運転手に訊け! 死ぬまでに一度は食べておきたい天ぷら屋『天鈴』(板橋区)

ほのぼのとした、温かなもてなし

『天鈴』さんの魅力は「天丼」だけではありません。先ほどお話したように、ご夫婦と娘さんの3人の連携プレーが絶妙で、とても心が温まります。それはまるで、昭和の映画やドラマのワンシーンのようにほのぼのとしていて、大好きなんです。

 私は、たまに「定食」800円も食べます。注文時に、苦手な「なす天は抜いてください」なんてことを言うのですが、そうしたわがままを聞いてくださり、別の野菜天を臨機応変に入れてくれます。

「定食」800円
「定食」800円

 この時はほぼ毎回、「穴子天」250円と「かき揚げ天」120円を必ず追加オーダーします。

 ご主人は、高齢にも関わらず、いまでも週に数回、築地に行かれ、新鮮な魚を仕入れています。ぜひ、その天ぷらを塩で味わってみてください。

 実は昨年(2017年)、『天鈴』さんは、数ヶ月、休業されていた時期がありました。ファンのお客さんも私も皆、「どうしたんだろう」と、ものすごく心配していたんです。聞くと、ご主人がお怪我をされたそう。

 でも、こうしてまた前と同じように再開していただき、お父さんもお母さんも娘さんも皆、元気そうでホッとしました。

 ご主人とお話をしていると「休んでいたのに、いまもたくさんの方が並んでくださって本当にありがたい。でも、年寄りなんで、現状維持くらいで頑張っていきたいですね」とおっしゃっていました。しかし、やはり美味しすぎて、つい、私もこうして紹介しちゃいました。

 ぜひ、『天鈴』さんの心温まる「天丼」を楽しんできて欲しいと思います。

 最後に1つだけ。

 ちなみに、夜に予約するとこんな素晴らしい料理が食べられます!

(撮影・文◎土原亜子)

●SHOP INFO

天鈴

店名:天鈴

住:東京都板橋区小豆沢1丁目6-16
TEL:非公開
営:12:00~14:00
  18:00~22:00(夜は要予約)
休:日・祝

●プロフィール

荒川治

東京都内在住のタクシー運転手。B級グルメ好きが高じて、現職に就き、お客さんを乗車させつつ、美味い店探しで車を回している。中年になってメタボ率300%だが、「死神に肩をたたかれても、美味いものを喰らって笑顔で死んでやる」が信条。写真検索で美味しそうなモノを選び、食べに行って気に入ればとことん通い倒す。でもじつは、自分で料理を作ることも好きで、かなりの腕と評判。