羊肉の旨さが堪能できる話題の店『ジンギスカン慶彦』(大森)に行ってきた

噂の『ジンギスカン慶彦』にいざ潜入

最初に脂の部分に火を通してから赤身を焼くのが慶彦流
最初に脂の部分に火を通してから赤身を焼くのが慶彦流

 この『ジンギスカン慶彦』では、仕入れたてのその日一番新鮮な羊肉と野菜が供されます。料金の目安としては羊肉が1380円~、野菜が300円~、その他の一品料理が400円~という感じです。

 肉質の良さはもちろん、その時にベストの国やブランドや部位を厳選して入荷しているそうで、産地・ブランド(牧場)・部位によって、まったく表情の異なる個性的な味を楽しむことができます。

 ちなみに取材時は、「福島県葛尾村 ホゲット ロース」、「アメリカ コーンフェッド ラム ロース」、「オーストラリア グラスフェッド マトン テンダーロイン」などが登場しました。国産羊の場合、羊を育てている人の名前や牧場まで、丁寧に説明してくれるのが嬉しいところ。

 これらの希少な羊肉を美味しく食べるため、焼き方にもルールがあります。例えば脂肪の多いロースは、まず肉を立てて脂の部分を先にじっくり焼いてから、倒して赤身の部分を焼く、といった具合。こうすると、脂肪はカリカリ赤身はしっとりに仕上がるんですね。また、モモなどのあっさりした部位は、ジンギスカン鍋の縁に溜まった羊の油をくぐらせて焼くことで、羊の脂分をプラス。このひと手間で味がぐんと変わります。

 こちらのお店、お願いするとお店の方が焼いてくれます。肉ごとに適切な焼き方を教えてくれるので、ありがたいのと同時に、すごく勉強になります。

これは玉ねぎとレンコン。旨みたっぷりの脂をよく吸って美味しいのなんの
これは玉ねぎとレンコン。旨みたっぷりの脂をよく吸って美味しいのなんの

 ここまで読まれた方はなんとなく想像がつくでしょうが、こちらの店の魅力の一つは、店員さんの羊愛がビシビシ伝わってくる接客です。愛が強いと圧倒されてしまう場合もありますが、そんなことはありません。あくまでゆるゆるとした雰囲気が流れています。

 なお、肉と一緒に味わう野菜は、福島産の野菜にこだわっています。ニューウエーブ・ジンギスカンは、野菜も大事な要素。羊の脂を吸った玉ねぎなどの定番野菜から、あまりジンギスカンでは使われないようなユニークな野菜まで、旬の羊にぴたりと寄り添う野菜が登場します。これも大きな楽しみの一つです。

もしゃもしゃした野菜はケールの一種。葉の部分をたまった羊の油で揚げてサクサクにして楽しむ未知の味わい
もしゃもしゃした野菜はケールの一種。葉の部分をたまった羊の脂で揚げてサクサクにして楽しむ未知の味わい

 今回、慶彦でジンギスカンを食べながら思ったことは、「もはやジンギスカンでも焼肉でもない」ということ。

 食べ方や産地、部位、ブランド、育て方などを説明してもらいつつ、スタッフさんが丁寧に野菜と合わせて焼いてくれるので、さながら卓上で調理してくれる三ツ星レストランの羊料理、というイメージに近いです。なのに、ジンギスカンならではの気楽な雰囲気はそのまま。最高ですよね。

 このように、ニューウェーブ・ジンギスカンは調理法の自在さと気軽さ、こだわりの深さなどが特徴。新しいジャンルの羊肉料理になりつつあるとひしひしと感じています。まだ未経験の方も多いと思いますが、ぜひ新しい羊体験を多くの人に味わってほしいですね。

 ちなみに、ニューウェーブ・ジンギスカンに行く時に、筆者が実践している楽しみ方をご紹介しておきましょう。

【1】きちんと予約していく
満席の場合が多いのと、希少肉などを取り置きしてもらえる場合がある

【2】提供順はお店に一任する
店側が食べてほしい順番に味わうのが一番美味しく楽しめる

【3】オススメ野菜もしっかり確認する
時期ごとに入荷する野菜も多いので、定番意外のお店のオススメを聞く

 以上を心にとめて、無心に羊にかぶりついてください!

●SHOP INFO

店名:ジンギスカン慶彦

住:東京都品川区南大井6-28-11 谷口ビル B1F
TEL:03-5763-5661
営:[ディナー]17:00~24:00(23:00LO)
休:火曜
https://jingisukan-yoshihiko.com/

●著者プロフィール

菊池一弘
羊齧協会主席。羊肉を常食する岩手県遠野市出身の父の影響で、羊肉料理に親しんで育つ。北京留学中に現地の味に触れ、その魅力に開眼して羊好きの消費 者団体「羊齧協会」を結成。本業はイベントの開催・運営、場作りのプロとしてのアドバイザー業務など。最近は四川フェスの運営団体麻辣連盟の幹事長も兼務。監修書籍に「東京ラムストーリー」(実業之日本社)、「家庭で作るおいしい羊肉料理」(講談社)など(http://hitujikajiri.com/