これぞ東京の餃子!『おけ以』(飯田橋)の焼き餃子が旨い理由

「東京の餃子といえば、おけ以」…その味わいは健在!

一皿6個入り 620円(税込)
一皿6個入り 620円(税込)

 店内は街の中華屋さんといった風情で、とても落ち着きます。なんと創業66年目。現在の店主は、3代目の馬道 仁さんです。元『おけ以』の常連さんで、工務店を営んでいたところ、縁があって店を継ぐことになったそうです。

 創業当時から変わらないレシピで忠実に伝統の味を守りながら、いかに香ばしく、今の人にも受け入れられる餃子に仕上げるか、試行錯誤。そうして、現在の「香ばしい焼き色が付いた羽根付き餃子」となったのです。

 座ってすぐ、餃子1人前とビールを注文しました。餃子は焼き上がりまで7~8分。最初は鉄鍋に強力粉入りの水を入れて餃子をコーティングながら蒸し煮します。水分がなくなってきたら最後に大豆油を回しかけ、焼き色が付けていきます。皮の香ばしさを物語るように、パチパチといい音を鳴らし、いい香りが漂ってきました。

冷凍してから焼くことで、香ばしい餃子が出来上がる

 焼き上げる際、馬道さんが火加減を見ながら鉄鍋をクルクルと回していきます。これは火の当たり具合を均等にするためだそう。実は、カリッとフワッと美味しく焼き上げるための工夫はこれだけじゃありません。餃子の餡は寝かせることで旨みを引き出し、出来上がった餃子は一旦冷凍し、水分を飛ばしているそう。

皮ももちろん手作り。強力粉にごま油を入れ、熱い湯で練流。半日寝かせていい塩梅の皮が出来上がる
皮ももちろん手作り。強力粉にごま油を入れ、熱い湯で練流。半日寝かせていい塩梅の皮が出来上がる

「餃子は最初、蒸し煮するので、冷凍しないとすいとんみたいに膨らんでベチャッとしてしまう。ですので手作りしてすぐ、冷凍しています。置くことで、さらに旨みも増しますしね」(馬道さん)

香ばしい焼き色、香りがたまらない!

この焦げた羽がたまらない!
この焦げた羽がたまらない!

 こうして、香ばしい焼き色をした『おけ以』の餃子が出来上がっているんですね。綺麗な焼き具合を見た瞬間、「久しぶりにやってきてよかった~!」と幸せな気分に。早速一口。あぁ~、これです。このパリパリ感。どこか懐かしい味。そして、シンプルなのに深い旨みが肉汁とともにやってきます。まさに、至福の瞬間…。

 食感や大きさのバランスも絶妙ですが、最大のポイントは餡の優しい味わい。粗めに挽いた豚バラ肉に白菜、ニラ、生姜を混ぜ(ニンニクは未使用!)、味付けは塩コショウと少々のうま味調味料のみで仕上げています。

 他の料理を食べればわかりますが、『おけ以』の味付けは「優しさがベースにある」。余計な素材を入れず、味付けもシンプル。だからこそ、一口目は調味料を足さず、口の中で溢れ出す料理の旨みを楽しむ。これぞ、『おけ以』流の食べ方です。

「ぜひ、最初の1個は何も付けずにそのままお召し上がりいただき、旨みを感じてください。あとはお好きな味付けでどうぞ」と馬道さん。こんなに噛みしめて味わう餃子、久しぶり。ほっこりした気分で溢れ、すっかり餃子に癒されました。