「浜田山あんパン」はケーキのごとく。
とある早朝。京王井の頭線の浜田山駅に行く用事があり、駅を降りると、すぐそばにあったコンビニ『デイリーヤマザキ』に会社員や学生たちがどんどん吸い込まれていくのを見たんです。気になって後に続いてみたら、皆さん、奥の「デイリーベーカリー」のコーナーに直進。そこには、焼きたてのパンがずらりと並んでいるではありませんか。
中でも、ひときわ「浜田山あんぱん」が輝きを放っていた理由は、“浜田山”という焼き印が押されていたからです。さらに、大切そうに扱われている感じで、1個1個プラケースに入っているんです。なのにたった154円。
浜田山といえば、確か高級住宅街。「あんぱん」でも上品なのかしら、と思いつつ観察していると‥‥
住民たちは、その「浜田山あんぱん」を、テイクアウトし、それを持って2階に上がっていく人もいます。そのフロアは、これまたサロンのような広々とした空間。
筆者もつられて「浜田山あんパン」を購入し、2階で実食することにしました。
まず、プラケースを開けると「あんぱん」は飛び出すことなく、どっしり。触れると、生地がふわふわです。
そして半分に割ると、ただの「あんぱん」ではなく、「下に粒あん、その上にはホイップクリーム」という二層構造になっていることが判明。しかもホイップクリームは厚さが目測で2cmはあります。
アンコとクリーム。この2つを一緒に食べるのは、「生クリームどら焼き」で経験があります。この“比率の正解”はあくまでも自論ですが、1：2。クリームが多い方が理想的な味になります。
実際、「浜田山あんパン」は、口の中で2つが混ざる時、素朴な粒あんを、たっぷりのクリームが優しく包み込み、食感も甘みもソフトにしてくれます。まさに黄金の比率なのです。
さらにこの「浜田山あんパン」は、パン生地がふわふわなので、まるでスポンジ生地のよう。だから「あんぱん」のくせに「ケーキ」の上品さを感じるのです。
あまりに美味しいので、お店の方に伺うと、実はこのあんぱん、「浜田山ではちょっと有名なんですよ」と言うのです。
すぐ隣の駅（高井戸）にヤマザキの杉並工場があり、そこからできたての生地が運ばれてきて、店内で焼いているのだそう。小ロットで焼き、出来るだけ焼きたてを置くようにしているので、生地がいつもふわふわなんだとか。
『デイリーヤマザキ』は、全国各地にたくさんありますが、焼きたてのベーカリーをやっているところは数限られており、さらに、地名入りの「あんぱん」を出しているは、杉並区の浜田山店と松庵店だけだそうです。
さらに、この「浜田山あんパン」は、毎月24、25、26日の3日間、お値段はそのままで、ホイップクリームが1.5倍の「プレミアム浜田山あんぱん」にレベルアップするんです。偶然にも筆者の食べた日はプレミアムデー。だからこんなにクリームがたっぷりだったんですね。
ちなみに、ほかの人気商品を聞くと、
1位は「塩バターパン 天日塩」（105円）
2位は「香り豊かなメロンパン」（130円）
3位「こだわりのダブルクリームパン」（168円）だそう。
どれも焼きたてなのにリーズナブルで嬉しいですね。ちなみに高井戸工場には『工場に一番近いパン屋さん』というショップが併設されていて、そこでも焼きたてのパンが食べられるそうです。
というわけで、地味な「あんぱん」が、浜田山のコンビニでは、まるでケーキのように食べられる贅沢な「あんぱん」だったんです。これなら手土産にも、誕生日プレゼントにも、よもや結婚式の引き出物にもいいかもしれません。
しかも早朝から深夜2時まで売り切れない限りパンの販売をしていますから、いざという時に嬉しいですね。
皆さんの街の自慢の「地味ミシュラン」は何でしょうか？ ぜひ、教えてください。
（取材・文◎土原亜子）
●SHOP INFO
店名：デイリーヤマザキ 浜田山駅前店
住：東京都杉並区浜田山3-32-4
TEL：03-5317-6855
営：5：00～翌2：00
休：なし
