ウマすぎて驚愕! 群馬と栃木だけでしか食べられない『たつ吉』の「とり重弁当」とは?

白いご飯の上に、丁寧に焼かれた鶏肉がデーンと乗ったシンプルなお弁当

鶏肉を仕込む様子
鶏肉を仕込む様子

 筆者が向かったのは『たつ吉 佐野浅沼店』。お弁当屋さんとは思えぬほど、オシャレな店内ですが、厨房ではいかにもうまそうな鶏肉を仕込み、そして丁寧に焼いていました。

「とり重弁当」700円(税込)。「むね肉」(左)、「もも肉」(右)
「とり重弁当」700円(税込)。「むね肉」(左)、「もも肉」(右)

「とり重弁当」は、「もも肉」「むね肉」の両方がありますが、迷う筆者はその両方をオーダー。お店の中で待つこと数分、やがて親切な店員さんが持ってきてくれました。タレの香ばしく濃厚な香りが漂い、「もも肉」「むね肉」双方ともテリッテリのツヤッツヤで、いかにもうまそうなビジュアルです。

 構成は極めてシンプルで白いご飯の上に、タレに漬けられ丁寧に焼かれた鶏肉がデーンと乗っています。副菜はお漬物のみ。なかなか良い感じです。

 さっそく「むね肉」からいただきます。鶏の「むね肉」は火を入れすぎると、身が硬直してしまう難点がありますが、丁寧に火入れしているからなのか、身がプリプリしており、優しい食感です。そこにコクのあるタレの風味、焼いた際の香ばしさが加わり、ご飯を次々といただいてしまいました。

 さらに「もも肉」をいただくと、「むね肉」よりも身の味が濃厚で、さらにご飯が次々と進みます。

鶏肉を焼き上げる様子(食楽web)
鶏肉を焼き上げる様子(食楽web)

 極めてシンプルな構成でありながらも、だからこそ具材・調理を丁寧に行っている印象で、これで700円というのはかなりのお値打ちなのではないかと思いました。本当に美味しくクセになる弁当でした。

うなぎが「絶滅危惧種」に認定され、「とり重」推しにシフトチェンジ!

 その美味しさに衝撃を覚えた筆者でした。『たつ吉』および「とり重弁当」の成り立ちについて『株式会社たつきち』の飯塚るなさんに聞いてみることにしました。

「『たつ吉』はもともと、群馬県桐生市にある老舗のうなぎ屋です。桐生や栃木の足利では古くから『うなぎが苦手』という方のために、うなぎと合わせて『とり重』といったメニューを展開するお店が多く、『たつ吉』でも同様に『とり重』を出していました。他方、今から7年前、うなぎの価格が高騰し、うなぎは『絶滅危惧種』に認定され『数年後にはうなぎが食べられなくなるかもしれない』というニュースが流れました。『たつ吉 桐生本店』では、廃業の危機となりましたが、現・社長が『次の世代にもうちの味を残したい』と思い、鰻のタレを使用して作っていた『とり重』をお弁当にして販売するようになりました。これが『とり重弁当』誕生の背景です。

 一般的な『とり重』は、焼き鳥のような団子状のお肉が使われることが多いと思いますが、『たつ吉』では、職人が一枚一枚丁寧に包丁で削いだお肉を使い、味もしっかり染み込んでいます。このため、旨味を十分感じられる味をご提供できていると自負しています」(株式会社たつきち・飯塚るなさん)

うなぎ用の秘伝のタレを使って焼かれる「たつ吉」の「とり重弁当」
うなぎ用の秘伝のタレを使って焼かれる「たつ吉」の「とり重弁当」

 飯塚さんによれば、この「とり重弁当」は大ヒットとなったそうですが、一方、消費者の方からはこんな声もあったそうです。

「『うなぎ屋にお弁当だけを買いに行くのは、敷居が高くて気が引ける』『ちょっと買いづらい』という声もありました。そこで、お持ち帰り専門店を同年にオープンし、約1年に1店舗ごと増店し、現在にいたっています。さらに、ヘルシー志向の方、鶏の皮を好まない方にも『たつ吉』のとり重弁当を味わっていただきたく、『むね肉』を追加しました。『もも肉』は脂身が多くジューシーな味わいですが、『むね肉』はさっぱりヘルシー。『もも肉』に対して『むね肉』は脂質約30%オフとなっています。

 ただし、いずれもうなぎ屋の秘伝のタレを使って焼いているため、香ばしくコク深い味を楽しんでいただけると思います。『一度食べたらヤミツキになる』といった評価をいただくこともあります。ぜひ一度ご賞味いただき、『とり重』ファンになっていただければ嬉しいですね」(株式会社たつきち・飯塚るなさん)

 ちなみに、毎月のとりの日(28日)は、通常700円の「とり重弁当」を500円で販売しているそうです(桐生本店を除く)。奇数月は「もも肉」、偶数月は「むね肉」の交互の販売とのこと。この日は電話回線がつながらなくなったり、最大約2時間待ちになるなど、各店ともに大盛況になるそうです。群馬・栃木でしか味わうことができない『たつ吉』の「とり重弁当」、ぜひ一度食べられてみてはいかがでしょうか。本当にクセになる絶品弁当ですよ!

(撮影・文◎松田義人)

●SHOP INFO

たつ吉 佐野浅沼店外観

店名:たつ吉 佐野浅沼店

住:栃木県佐野市浅沼町114-1
TEL:0283-85-7045
営:11:00~20:00
休:月曜
※『たつ吉』はよ佐野浅沼店、桐生本店を含み、群馬・栃木で合計8店舗を展開しています