黄色いひもを引き抜くと、5~6分でムラなく温まる!
「網焼き牛たん弁当」は、冒頭でも触れた加熱容器であるため、一般的な駅弁よりも少々大振りです。移動中や旅行中はなるべく荷物を小さくしたいもの、「網焼き牛たん弁当」の少々嵩張る点をもってしても、この味を超えるものはなかなかないのもまた事実。よって筆者は前述の通り「網焼き牛たん弁当」をいつも指定して購入しています。
冒頭でも触れた通り、「網焼き牛たん弁当」の加熱方法はいたって簡単で、容器側面の黄色いひもを引き抜くだけ。自然と容器が温まりはじめ5~6分で弁当がムラなく温まります。
温めた後、さっそく「網焼き牛たん弁当」をいただきます。程よい弾力のある牛たんには塩コショウがしっかりと味付けされており、サッパリとした麦飯との相性が抜群です。また、彩となる花柄にカットされたにんじんもかわいらしく、口休めにいただく漬物も美味。まさにシンプル・イズ・ベストの味で、他とは一線を画す絶品弁当です。
ちなみに、「網焼き牛たん弁当」をさらにグレードアップさせた「極撰炭火焼き牛たん弁当」(税込1450円)もあり、こちらは「極撰炭火焼き牛たん弁当」より牛たんが分厚く、より豪華な味を楽しめます。
『こばやし』の「牛たん弁当」には非加熱式のものもあった
販売元の『こばやし』は仙台の弁当メーカーであり、加熱式容器を採用している「網焼き牛たん弁当」「極撰炭火焼き牛たん弁当」だけでなく、非加熱式の牛たん弁当もあります。「仙臺味噌仕立て 牛たん弁当」(税込1100円)、「仙台名物厚切り真たん牛たん弁当」(税込1980円)がそれで、これらもまた美味。仙台のメーカーだけあり、いずれも地元の名物グルメ「牛たん」の扱いの奥深さを感じられる味わいです。
今から32年前に誕生した「網焼き牛たん弁当」は今では仙台を代表する弁当に!
とにかくうまい『こばやし』の「牛たん弁当」ですが、同社にはどんな背景があり、これらの絶品弁当にはどんな秘密があるのでしょうか。最後に『こばやし』の担当者の方に聞いてみました。
「弊社は、1920年に茨城県水戸市で菓子製造業の井熊総本家の仙台支店として仙台市元寺小路において営業を始めました。昭和38年に、株式会社こばやしを設立。作曲家でタレントの故・小林亜星氏をキャラクター化したマークを活用し、以来、仙台を代表とするお弁当屋として、地元を中心に親しまれる企業を目指してきました。東日本大震災の際には弊社も被災しましたが、震災の翌日の3月12日より工場を稼動させ、自衛隊の方々などの食事の提供を行うこともありました。
弊社を代表する商品『網焼き牛たん弁当』は1990年に『あったか~い仙台名物炭火焼牛たん弁当』として誕生したもので、以来弊社、そして仙台を代表するお弁当として日本全国の方々に愛される商品になりました。加熱式容器『ナルホット』を採用しておりますが、この容器は弊社が初めてではなく、某同業者からの紹介で使用を開始しました。『網焼き牛たん弁当』は弊社オリジナルの塩コショウを使用しており、ひと噛みごとに旨みあふれるお弁当です。また、『極撰炭火焼牛たん弁当』や『仙台名物牛たん弁当』といった厚みのある牛たんには、程よく切れ目を入れ食べ応えのある牛たんを採用しています。
『仙台といえば、牛たん』というイメージを持つ方が多いと思いますが、弊社のお弁当は『ご飯』に特に強いこだわりを持っています。宮城県産の環境保全米ひとめぼれの一等米のみを使用しており、牛たんとの相性が抜群です。他にも仙台には海の幸、山の幸がたくさんあります。弊社の『牛たん弁当』はもちろんですが、ぜひ宮城県の食を多くの方に味わっていただければ幸いです」(こばやし・担当者)
牛たんをここまで美味しくいただける弁当は、少なくとも筆者は『こばやし』以外に思いつきません。まだ食べたことがない方、是非一度食べてみてください。感動の味に出会えることと思いますよ!
(撮影・文◎松田義人)