人気の台湾カステラはいつどう生まれたのか? 知られざるルーツを専門店に聞いてみた

ルーツは日本!? 日本統治時代に日本人が台湾に持ち込んだ「カステラ」が元だった

その味は、従来の台湾カステラをさらに進化させたものばかり!
その味は、従来の台湾カステラをさらに進化させたものばかり!

 まず、南国・台湾で「カステラ」というスイーツが浸透していった経緯から聞きました。

「諸説ありますが、台湾カステラは台湾に昔からあるケーキで、『古早味蛋ガオ(グザウェイタンガオ)』と呼ばれるものです。この起源を辿ると日本統治時代に日本人が台湾に持ち込んだ日本のカステラが台湾人好みの味に改良されたもののようです。『古早味』は『昔ながらの味』という意味で、直訳すると『昔ながらの味のケーキ』ということになります。

 台湾では気候的に酪農が発達しておらず、乳製品は高級品でした。また、従来のカステラに必要なバターも高級食材であったため、バターを使わずに作られたのが、台湾版カステラである『古早味蛋ガオ』でした。昔の台湾は、今のように豊かではなかったため、あえてサイズも大きくボリュームのあるものになったと言われています。

 ときは流れ、高度成長を続ける台湾では国内旅行のブームなどがあり、台湾国内の観光業が発展しました。2000年代に入ると各地方の各店舗で味や見た目に趣向を凝らした『古早味蛋ガオ』の美味しい店というのが登場してきました。この辺りの時期から大きなオーブンで豪快に焼く、プルプルふわふわした形の台湾カステラの形になったと言われています。

『古早味蛋ガオ』は、どの地域にでもあった食べ物でしたが、味が美味しいお店や改良してクオリティを上げたお店が有名になり、観光地の中心部に出店をする……このような流れで地域の名物化しその地域のお土産となりました。その代表的な場所が台北の北に位置し、『東洋のベニス』とも言われる観光地・淡水という場所で、この場所での台湾カステラは世界の人々から注目を浴びることになっていきました。今では台湾の人をはじめ、世界の方から支持を得る台湾を代表するスイーツの1つとなっております」(台楽蛋ガオ・担当者)

現地で修行したスタッフが、台湾の製法で再現する『台楽蛋ガオ』の台湾カステラ

『台楽蛋ガオ』のパッケージ(食楽web)
『台楽蛋ガオ』のパッケージ(食楽web)

 当初は乳酸品をできるだけ使わないように工夫された台湾カステラですが、時代の経過に合わせて、おおむね以下のような作り方になっていったそうです。

「新鮮な卵黄と牛乳、厳選した小麦粉をふんだんに使い、それに卵白で作った泡のようなメレンゲを混ぜて、じっくり焼き上げることで、“ふわぁ しゅぁ”でスフレケーキのような食感を実現しました。日本のカステラがしっとりとして、濃厚な甘さであるのに比べて、台湾カステラは軽く、さわやかな甘さが特徴です」(台楽蛋ガオ・担当者)

 一般的に知られているカステラとは似て非なるもの……それが台湾カステラです。言い換えると、日本人が持ち込んだカステラが、台湾で独自に変化し、長い年月を経て浸透し、近年、その味が今度は日本に持ち込まれるようになったというわけです。

「そういうことになると思います。当店では、台湾現地で修業した専門スタッフが来日し、台湾の製法をそのまま取り入れ、現地の味と食感を再現した正真正銘の『台湾カステラ』です。日本で展開する際、現地の原料がほぼ使用できず困惑しましたが、日本の小麦粉や卵、全てを高品質の日本産のものを採用することでプレミアム感を打ち出しています。

 プレーン、チーズ、チョコレート、宇治抹茶、アールグレイ、焦がしバター、小倉大納言など、豊富な味のバリエーションを用意しております。加えて、カステラに合う台湾茶、アールグレイカステラにも使用している本場のスリランカ紅茶も提供しております」(台楽蛋ガオ・担当者)