脂が甘い!!その理由は?

私が初めて『下頭橋ラーメン』さんを訪れたのは10年くらい前。オープン当初だと思います。『土佐っ子』の味を受け継いでいるお店だと知って伺ったのですが、実は私、環七ラーメンブームの頃はまだ10代でして、“環七ラーメン”全盛期の『土佐っ子』の味を知らないんです。
しかし、『下頭橋』さんのラーメン(750円)を初めて食べた時、「これこそ“土佐っ子”の味だ!」と思いました。原点の味を知らないのに、なぜそう確信したのか。それはまず、“脂の甘さ”に心底、驚かされたからです。

メディア等で“脂が甘い”という表現をよく聞きますが、それまで、正直言ってよくわかりませんでした。これまでも他店の「背脂チャッチャ系」ラーメンを何軒も食べていましたが、“脂の甘み”というのをしっかり感じたことはありませんでした。ですから、本当に驚きました。
『下頭橋』さんのラーメンは、最初は脂の甘味を感じ、食べ進むうちに麺に絡まるスープの旨みを感じ、次第にカエシの醤油味の濃厚なコクを感じます。食べ終わっても脂の臭みを感じることはなく、脂くどさも、しょっぱさも全くないんです。

こんなに降りかかっている大量の脂を全身で受け止めても、なんだかすっきりした気分になる。不思議でした。そして、また無性に食べたくなる。だから「これこそが、バブル時代の深夜族の人の舌を魅了し続けた土佐っ子の味に違いない」と確信したんです。